待望の新刊、『OPENNESS  職場の「空気」が結果を決める』が発売5日目に重版し、3万部を突破。著作の合計部数も30万部を超えた北野唯我氏。いま、人材マーケット最注目の論客であり、実務家だ。
その北野氏が、今回選んだテーマは、「組織」。発売即、重版が決まった自身初の本格経営書「ウチの会社、何かがおかしい?」という誰もが一度は抱いたことがある疑問を科学的、構造的に分析し、鮮やかに答えを出している。
なぜ、あなたの職場は今日も息苦しいのか。具体的に、何をすれば「オープネスが高い」組織がつくれるのか。明日、少しでも楽しく出社するために、一人ひとりができることは何か。本連載では、これらの疑問について、独自の理論とデータから解説する。

「採用の時だけ人気があるブラック企業」が発生する根本原因Photo: Adobe Stock

私たちは驚くほど、社長のことを知らない

 本連載では、「職場の空気」が企業の業績にとって重要な指標となってきている構造的な理由について解説してきました。では転職などで企業を選ぶときには、何を基準に見ていけば良いのでしょうか? 
 詳しくは、『OPENNESS  職場の「空気」が結果を決める』で解説していますが、「風通しが良い職場か」を決める重要なサインの1つは、「社長の名前がバイネーム(名指し)で書かれるかどうか」です。企業は、社長の顔がオープンになっている組織と、反対に社長の顔がオープンになっていない組織の2つに分かれます。
 現場の社員は、自分が思っている以上に「社長を知らない」のです。たとえば、日本の時価総額トップ20に入る企業のうち、私たちは何社の社長をバイネームで言えるでしょうか?  加えて、その人はどんな思想をもち、どんな経営をしているかをクリアに理解しているでしょうか?

【時価総額トップ 20の企業】(2019年8月時点)
トヨタ自動車、ソフトバンクグループ(親会社)、日本電信電話、NTTドコモ、ソニー、キーエンス、ソフトバンク(子会社)、三菱UFJフィナンシャル・グループ、ファーストリテイリング、KDDI、リクルートホールディングス、武田薬品工業、オリエンタルランド、任天堂、三井住友フィナンシャルグループ、第一三共、日本たばこ産業、日本郵政、本田技研工業、ゆうちょ銀行

  よっぽどの経済オタクでない限り、社長のことを知っている会社が思ったよりも少ないことに気づくのではないでしょうか。「他人の会社だから仕方ない」、そう思ったかもしれませんが、もう少し身近な視点でも実は同じなのです。

 たとえば、あなたは、自分の会社の経営陣のうち、次の人々の顔が一致し、その思想を理解していますか? 何人の顔と名前が一致したでしょうか?「どんな人で、何を普段しているか」を説明できますか? 大きな組織であればあるほど、おそらく答えられても3人か4人ではないでしょうか。

①社長(会長/代表取締役社長)
②副社長
③最高財務責任者
④最高技術責任者
⑤最高マーケティング責任者
⑥最高戦略責任者
⑦営業担当執行役員
⑧主要事業の執行役員
⑨新規事業担当の執行役員
⑩社外取締役