「トップの顔が見えているか」が重要

 よくよく考えてみれば、「トップの顔が見えているか」や「哲学や思想が見えているか」は、ビジネスの世界以外では当然のこととされています。
 たとえば、野球やサッカーのチームで考えれば、「監督の名前も哲学もわからない状態」で、そのチームで頑張れるか、いい組織がつくれるかというと、そう簡単ではないでしょう。

 その意味で、「会社の経営者の顔と哲学がオープンになっていない状態」というのは、指揮官がAIのスポーツチームでプレーするようなもの。つまり、かなりやりづらいものなのです。

 ただ、オープンといっても「社外」に向けて顔を出すべきというわけではありません。むしろ、優れた経営者の中には、社外に向けた発信を好まない人も多いです。カリスマ経営者というと、一般的に社外への発信に積極的なイメージがありますが、そうではない人も大勢います。

 では、どういう構造なのか。整理すると図のようになります。

 2×2のマトリックスは、横軸が「社外」に対する情報発信の積極さ、縦軸が「社内」に対する情報発信の積極さを示しています。言い換えれば、左上は、社外にも社内にも情報がオープンであり、右下はどちらにもオープンではない。こういうことです。
 このうちオープネスが高い組織の経営者は、①と②です。実際問題、社外への発信が多いかどうかは、社長の性格という要素もありますが、どちらかというと「必然性」によるところも大きいのです。
 具体的に言うと、創業社長は情報発信に積極的であることが多く、2代目以降の社長は少なめです。