写真:PCR検査神奈川県横須賀市が4月24日から導入した「ウォークスルー方式」と呼ばれるPCR検査のデモンストレーション Photo:Tomohiro Ohsumi/gettyimages

日本の新型コロナウイルスの感染者が欧米と比べて少ないという状況について、日本は検査をしていないから患者が少ないのだという議論がある。果たしてこの説は正しいのか。本稿で統計的に検証する。(名古屋商科大学ビジネススクール教授 原田 泰)

新型コロナウイルス感染者数が
日本で少ないのは検査数の問題なのか

 全世界が新型コロナウイルスの感染拡大でパニック状態になっている中で、日本はこれまでのところ感染者数が低く抑えられている。もちろん、直近になって感染者数が増大し、緊急事態宣言も発出された。日本も今後イタリアや米国のようになるのか、予断を許さない状況にある。

 現在まで欧米に比べて感染者が少ないという状況に関し、握手&キス&ハグの文化ではなくお辞儀文化だからだ、よく手を洗いうがいをし、衛生観念が高いからだ、暖かく湿気が多いからだ、結核予防のBCG接種が良いなど、さまざまな説が流れている。

 BCG接種説とは、BCGは対結核だけでなく、一般的に免疫能力を高め、これがコロナウイルスにも効果的であるという説である。これによるとBCG接種をしている日本などアジアの国で死亡率が低く、していない欧米で高いという(大隅典子「コロナにBCGは『有効』なのか?東北大・大隅教授が緊急解説」ダイヤモンド・オンライン2020.4.13)。

 これに対して、日本の状況は単にこれまでが良かっただけでこれから悪化する、日本は検査をしていないから患者が少ないのだという議論もある。これから悪化するという説に関してはすぐに結果が出るだろうから、本稿では検査数が少ないから患者数が少ないという説を検討したい。おそらく、これが現在の最有力説だと思われるが、この説が正しいかどうかを、統計的に検証する。