透析コロナ禍で「少しでも感染リスクを減らしたい」と思う透析患者は少なくありません(写真はイメージです) Photo:PIXTA

ある朝、突然体が動かなくなり
腎不全だと告げられた

(よかった、今日は痛くなかった)

 ヨシアキさん(仮名・45歳)はベッドの上で安堵のため息を漏らし、目を閉じた。透析を始めて3年になるが、穿刺(せんし:血管に針を刺すこと)の痛みだけは全然慣れることができない。

 まず下手な人間と上手な人間の技術に差があり過ぎる。上手な看護師さんなら、針は一発でほとんど痛みなく刺さり、透析中も血管が痛くなることは少ないような気がする。

 一方、下手な人間に穿刺されるのは地獄だ。初めて穿刺された際にはあまりの痛さに衝撃を受けた。(なんだこの痛みは。全国に33万人以上もいる透析患者はこんな痛みに延々と耐えているのか。信じられない)と、心底思ったものだ。

 しかも穿刺は毎回、血液の出口と戻り口の2カ所に刺さなくてはならない。1回目が激痛の場合、2回目も激痛になる可能性は高い。痛みを緩和する麻酔シールや薬もあるが、下手な人の穿刺だとやはり痛い。看護師さんも申し訳なさそうにしている。

(穿刺の痛みとは死ぬまで付き合わないといけないんだよな。美容室みたいに指名できるといいのに。指名料を取られても、俺は絶対痛くない人に頼むよ)