三菱電機、「不正のオンパレード」に陥った名門企業の根本的な問題Photo:VCG/gettyimages

鉄道車両向け空調装置で長年にわたって不正を行っていたことが発覚し、三菱電機の杉山武史社長が引責辞任を表明した。今回のケースではデータをねつ造するソフトウエアまで開発しており、組織ぐるみであることは明らかだ。同社は過去にもパワハラ問題や不正アクセス事件など不祥事を起こしており、組織的な問題を指摘する声は多い。問題が繰り返される根本原因とは何か。歴史も踏まえて考察したい。(経済評論家 加谷珪一)

3度の大規模点検も続々不正発覚
三菱電機が抱える問題の根深さ

 三菱電機が製造する鉄道車両用の空調装置などにおいて、仕様書とは異なる条件で検査する、あるいは検査そのものを実施しないといった不正を行っていた。顧客には適正に検査をしたように見せかけた書類を提出していたという。不正行為は少なくとも1985年から行われており、架空のデータを自動的に生成するソフトウエアまで使用していた。意図的かつ組織的な不正であることは明らかである。

 こうした不正はあってはならないことだが、企業は人が運営するものである以上、不正行為の発生をゼロにすることはできない。だが三菱電機の場合、「不正行為があった」だけでは済ませられない深刻な事情がある。

 それは過去に何度も不正行為を繰り返しており、加えて社内調査を実施したにもかかわらず、事態が全く改善されなかったことである。今回、発覚した不正についても過去の社内調査では発見されておらず、調査そのものの信頼性が大きく揺らいでいる状況だ。