エレベーター新型コロナウイルス禍の中、ジャパンエレベーターサービスホールディングスというエレベーターメンテナンス界の「異端児」が、業界の常識を覆して急成長している

新型コロナウイルス禍の中、エレベーターの割安なメンテナンスサービスを引っ提げ、急成長する「異端児」がいる。重電メーカーの「3強」が君臨するエレベーター業界で今、大きな地殻変動が起きようとしている。(ダイヤモンド編集部 新井美江子)

エレベーターは便利だが
とんでもない“金食い虫”

「Beautiful!」。新型コロナウイルス禍の中、外国人投資家がそう感嘆する斬新なビジネスモデルで急成長している企業がある。

 エレベーターのメンテナンスを行うジャパンエレベーターサービスホールディングス(ジャパン)だ。ジャパンはエレベーターを製造するメーカー系のメンテ会社ではなく、れっきとした独立系だ。2020年4~6月期には、営業利益率で14.4%と高水準をマーク。同期に最終利益を倍増させた知る人ぞ知る絶好調企業である。

 コロナ禍で業績が急降下する企業にとって、経費の削減は喫緊の最重要課題だ。だが、乾いた雑巾を絞るがごとき経費削減をしている企業でも、意外と見落としている穴がある。それが、エレベーターのメンテ費用だ。

 実はエレベーターはとんでもない“金食い虫”だ。何しろ、物によっては1台当たり、月に6万~7万円ものメンテ代がかかっている。もし建物に6台のエレベーターがあるとすれば年間432万~504万円、10台あったら同720万~840万円もの維持費がかかっているということだ。

 ジャパンはそこに一石を投じている。メンテの技術水準を高レベルで維持したまま、メーカー系のメンテ会社より20~50%安い価格でメンテを請け負っているのだ。

「何もメーカー系にファイティングポーズを取っているわけじゃない。顧客に喜んでもらえるように、高レベルのサービスを適正価格で提供しようとしているだけ」。ジャパンの創業者である石田克史会長CEO(最高経営責任者)は事もなげに語るが、なぜそんなことができるのか――。