韓国は12月の大統領選挙を目前に控えています(12月19日投開票)。現在、与党セヌリ党の朴槿恵(パク・クンヘ)氏、民主統合党の文在寅(ムン・ジェイン)氏、無所属の安哲秀(アン・チョルス)氏の3人の立候補者が激しい接戦を繰り広げている最中です(安氏と文氏は候補者の一本化で協議が進んでいます)。この3人に共通しているのは、ICTを韓国の戦略産業の中心と位置付けている点です。また、今回の選挙戦はICTを駆使していることがこれまでにない特徴です。実際どのような選挙戦が繰り広げられているのか紹介しましょう。

ICTを国家戦略として語ることが
不可欠となっている選挙戦

 韓国では12月19日の大統領選挙を目前に控え、現在、民主統合党の文在寅(ムン・ジェイン)氏、無所属の安哲秀(アン・チョルス)氏、与党の朴槿恵(パク・クンヘ)氏の3人の立候補者が大接戦を繰り広げています。まず、3者に共通しているのは、ICTが韓国の戦略産業の中心であると位置付けている点です。

 例えば、与党の候補である朴槿恵(パク・クンヘ)氏の「創造経済論」の七つの課題を紹介しましょう。

 一つ目は、国民を幸福にできる技術を開発し、全産業に適用することです。具体的には、ヘルスケアや安全保障など国民が生活のあらゆる面で技術的な恩恵を受けられるようにするとしています。そのため、ITを含む科学技術を農業、漁業、製造業と融合させ、国民生活に浸透させていくと言っています。

 二つ目は、ソフトウェア産業を未来再成長産業として育成するということです。特に、ソフトウェアは無料であると思う考え方を撤廃し、適切な値段を支払うような文化を創ると宣言しています。

 三つ目は、ソフトウェアとデザインを融合させるということです。なぜ、日本も韓国もアップルに負けたのでしょうか。それは、ハードウェアを作る高い技術力はあっても、ソフトウェアとデザインを融合させて一つの付加価値を作り出すという考え方が日本人にも韓国人にもなかったからではないでしょうか。そこで、ベンチャー企業などを応援し、こういった創造性が芽生えるような土壌を国として作っていこうというのです。

四つ目は、創造的な電子政府を作るということです。この政府では、行政が持っているあらゆる情報を大幅に開放し、新しい市場を作っていくとしています。

 五つ目は、新たに未来創造科学部という省庁を創設するということです。ここでは、創意のある融合人材を育成し、研究開発を支援するとしています。現在、韓国には、知識を一つの大きな財産を見なし、経済活動を行っていこうという知識経済部という省庁がありますが、未来創造科学部は知識をはるかに超えた創造を主軸とする省庁となります。