中西宏明・日立製作所前会長中西宏明・日立製作所前会長 Photo by Hideyuki Watanabe

日立会長とキヤノン会長
2人の「財界総理」を輩出

 2000年代に卒業生からは、経団連会長を2人、首相を1人、輩出している。50年前には東京工業大入試でトップ校だった。野球が強く都立高校の中では数少ない甲子園出場経験を持つ。小山台高校(東京都立・品川区)は文武両道の伝統校だ。

 日本経済団体連合会の会長は、略して「経団連会長」と呼ばれる。「財界総理」と理解すればわかりやすい。日立製作所会長だった中西宏明は18年5月末に第14代の経団連会長に就任したが、1年ほどで悪性リンパ腫にかかり、入退院を繰り返した。任期を1年残したまま、21年6月1日に退任した。その月の27日に死去した。75歳だった。後任は、住友化学会長の十倉雅和(兵庫県立西脇高校―東京大経済学部卒)だ。

 中西は小山台高校―東大工学部卒で、日立入社後はコンピューターエンジニアとして活躍した。10年に社長、14年から会長に就き、リーマン・ショック後に約7800億円という巨額赤字を出した同社を、社会インフラ事業に経営資源を集中させるなどして再建した改革派の経営者として知られる。

 日立出身者が経団連会長になったのは、初めてだった。電機業界からは東芝出身者が経団連会長に就くことが慣例となっていたが、東芝は不祥事が続いたことで敬遠された。

 中西は、重厚長大産業に偏った経団連の入会資格を緩めてIT企業やベンチャー企業の加盟を促し、組織改革にも取り組んだ。「モノ言う姿勢」を鮮明に打ち出し、かつての威光に陰りが見える「財界総理」の復権を図った。