すき家Photo:Diamond

コロナ禍からの企業業績の回復は、勝ち組と負け組の格差が拡大して「K字型」に引き裂かれていくという二極化の議論が強まっている。そこで、上場企業が発表した直近四半期の決算における売上高を前年同期と比べ、各業界の主要企業が置かれた状況を分析した。今回はゼンショーホールディングス、吉野家ホールディングス、松屋フーズホールディングスの「牛丼」業界の3社について解説する。(ダイヤモンド編集部 笠原里穂)

ゼンショーホールディングスは増収
吉野家、松屋は前年同期比減収

 企業の決算データを基に「直近四半期の業績」に焦点を当て、前年同期比で増収率を算出した。今回の対象は以下の牛丼業界3社。対象期間は21年6~9月の直近四半期(吉野家ホールディングスは21年6~8月期、その他2社は21年7~9月期)としている。

 各社の増収率は以下の通りだった。

・ゼンショーホールディングス(すき家)
 増収率:3.0%(四半期の売上高1644億円)
・吉野家ホールディングス
 増収率:マイナス10.6%(四半期の売上高378億円)
・松屋フーズホールディングス
 増収率:マイナス4.8%(四半期の売上高226億円)

※ゼンショーホールディングス、松屋フーズホールディングスは収益認識に関する会計方針の変更を行っているが、各社の開示方法に準じて、前年同期の売上高と増収率には同変更を遡及適応していない。

 牛丼業界の3社は、ゼンショーホールディングスが前年同期比増収、吉野家ホールディングス、松屋フーズホールディングスが減収となった。

 前年同期比の増収率で明暗が分かれた要因は何だったのか。また、コロナ前の19年の売り上げと比較すると、各社の「格差」がさらに浮き彫りになった。コロナ禍からの業績の回復度合いに大きな「差」が生じており、3社のうち2社が立ち遅れているのだ。次ページでは、データを交えて詳しく解説する。