「株主優待」が投資家・企業双方にとってWin-Winといえる理由写真はイメージです Photo:PIXTA

株主優待を狙って投資する個人投資家は少なくない。株主優待は株主にとってお得な場合が多い一方で、企業側にとってもメリットがある。その仕組みを解説しよう。(経済評論家 塚崎公義)

株主優待を狙う個人投資家も

 企業によっては、株主に対して配当のほかに株主優待を提供している場合がある。図書カードのようなものを渡す場合もあるが、自社製品を配っている場合が多いようなので、本稿では、自社製品を用いた優待について論じる。

 相当な金額の自社製品がもらえるということで、株主優待を狙って投資をしている個人投資家も多いようだ。優待品の金額を株価で割って利回りを計算して投資判断に用いる人も少なくない。

 利回りが高いだけで自分が気に入っていない物(財およびサービス、以下同様)が優待品になっている、という場合は投資を控えたほうが良い。しかし、自分が気に入っている物が優待で得られるならば、悪くないと筆者は考えている。

 企業にメリットがなく、株主にだけ大きなメリットがあるということは考えにくい。自社製品を株主優待として提供することは、企業にとってもメリットとなる。Win-Winの関係として、株主がお得な優待品を受け取れる可能性も大きいのだ。

企業にとっての株主優待のメリットとは

 企業としては、多くの個人株主に株式を長期保有してもらうというメリットがある。短期売買で株価が大きく変動するのも困るし、乗っ取りをたくらむ投資家に株を買い占められるのも困る。そこで、株主優待狙いの投資家が、長期保有目的で株を持ってくれることを期待するのである。

 自社製品を株主優待とすることで、コストが安い割に株主に喜んでもらえる。客は製品価格を見て優待の価値を判断するが、企業にとってのコストは材料費だけで済む。

 しかも、自社製品の宣伝にもなり得る。新商品を株主優待とすれば、それを使った株主が気に入って、次回から自費で購入してくれる可能性もある。街頭で新製品のサンプルを配布するのと同じ感覚で、株主優待を送れば良い、というわけだ。