年1万円の医療費節約も可能に、新登場「リフィル処方箋」の活用法写真はイメージです Photo:PIXTA

4月の診療報酬改定で新たに登場したのが、「いつものお薬」を出してもらうためにわざわざ病院を受診しなくても、特定の条件を満たせば調剤薬局で3回までは薬を出してもらえる「リフィル処方箋」という制度だ。しかも、うまく利用すれば年間1万円もの医療費を節約できる可能性もあるという。連載『医療費の裏ワザと落とし穴』の第240回では、診療の手間も省け医療費の節約にもつながるこの新制度について詳しく見ていこう。(フリーライター 早川幸子)

病院を受診しなくても「いつものお薬」が
薬局で買えるようになるリフィル処方箋とは?

 4月1日の本連載で、2022年度の診療報酬が改定され、紹介状なしで大病院を受診すると、今年10月から患者が負担する医療費が引き上げられることを紹介した。

 診療報酬とは簡単に言うと、公的な医療保険(健康保険)で受ける医療や薬などの価格のことだ。物価や賃金水準、消費税率の引き上げ幅などを考慮して、原則的に2年1度改定される。だが、診療報酬は、単に「医療の値段」という意味合いにとどまらない性格を持っている。

 病院や診療所や薬局は、経営のために、できるだけ高い診療報酬の付いている医療サービスを行う傾向が強い。そのため、国は、その時々で国民が必要な医療サービスや、国として充実させたい診療科の診療報酬を引き上げて、医療機関を誘導している。つまり、診療報酬は、国が目指す医療の提供体制を実現する手段として使われているのだ。

 今回の改定で重点課題として挙げられているのは、(1)新型コロナウイルス感染症等にも対応できる効率的・効果的で質の高い医療提供体制の構築、 (2)安心・安全で質の高い医療の実現のための医師等の働き方改革等の推進の2つで、これらを実現するための診療報酬の見直しが行われている。

 前回紹介した「紹介状なしの大病院受診時の定額負担」も、これらの課題解決のために導入された具体策のひとつだ。医療費を抑制しながら、効率的に必要な医療を受けられる提供体制にするために、外来医療の強化・機能分化を図ることを目指している。

 この外来医療の強化・機能分化のために、今回の診療報酬改定で導入されたもので、もうひとつ身近な医療費に関係してくるのが「リフィル処方箋」だ。薬の処方に関する仕組みが変更され、これを利用すると病院や診療所で支払う窓口負担を節約できる可能性があるのだ。一体どんな仕組みなのか、次ページから見ていこう。

*病院を受診しなくても特定の薬を薬局で出してもらえるリフィル処方箋が登場
*リフィル処方箋の活用で年間1万円もの医療費節約も可能になる