ロッテ創業者はなぜ事業承継に失敗したのか(後編)――稲盛和夫と重光武雄の違いに見る「指南役」の優劣
船木春仁
2014年から15年にかけて引き起こされたロッテグループの経営権をめぐるクーデター、つまり二男が、後継者とされていた長男のすべての役職を解…
2022.10.5
2020年1月、ロッテグループ創業者の重光武雄(本名は辛格浩)氏が亡くなった。享年98。80年前、18歳で、文字通り裸一貫で来日し、日韓にまたがる巨大企業グループ「ロッテ」を築き上げた重光は、日本で最も経済的成功を収めた在日韓国人一世の経営者である。
オーナー社長としての強力なリーダーシップ、鬼才的なマーケティングセンス、常に最高品質を求めた商品の差別化や競争優位戦略……。そして、巨大な日韓ロッテグループを長男と次男へ渡すために、数十年をかけて周到な準備をした重光経営とはいかなるものだったのか。
『ロッテを創った男 重光武雄論』は事業継続の成功をたどった評伝だが、本書は、経営者の最大の使命である事業承継&後継指名について、カリスマ経営者に仕えたロッテ元幹部などの証言と重光武雄氏ならびに日韓ロッテのグループ経営に関する資料から事業承継に関するファクトを丹念に抽出し、強固な「城」としての資本構成と組織形成が取締役会と議決権という「盲点」によって内部から崩壊しうることを「7つの教訓」としてまとめた。
船木春仁
2014年から15年にかけて引き起こされたロッテグループの経営権をめぐるクーデター、つまり二男が、後継者とされていた長男のすべての役職を解…
2022.10.5
船木春仁
日韓にまたがる巨大財閥、ロッテグループを創り上げた重光武雄。起業から韓国の5大財閥の一角にのし上がるまでの人生は、まさに「今太閤」を思わせ…
2022.8.31
第10回
船木春仁
クーデターによって日韓ロッテグループの経営権を手にした創業者の次男、重光昭夫。以来7年、経営者としての力を証明するには十分な時間が過ぎた。…
2022.8.3
第9回
船木春仁
創業者である父・重光武雄と後継者の兄・宏之の寝首を掻いて、すべての役職を奪ってロッテグループから追放してしまった昭夫。「父・兄弟殺し」の汚…
2022.6.15
第8回
船木春仁
30年かけて築いた資本防衛策を二男の昭夫と、その「手下」のロッテホールディングス(HD)社長の佃孝之、専務CFOの小林正元の3人組にやすや…
2022.5.25
第7回
船木春仁
ロッテグループの創業者であり、オーナーだったはずの武雄は二男の昭夫によっていとも簡単に、すべての地位を剥奪され、追放されてしまう。それを可…
2022.5.11
第6回
船木春仁
「お前にロッテを経営する才能はない」と二男・昭夫に引導を渡した重光武雄。その5日前には、後継者の長男・宏之の追放を仕掛けた日本のロッテホー…
2022.4.20
第5回
船木春仁
後継者である長男の宏之追放というクーデターを仕掛けた日本のロッテホールディングスの社長と専務をクビ宣告で瞬殺した重光武雄。そのクーデター劇…
2022.4.6
第4回
船木春仁
ロッテグループの総帥である武雄に、長男の宏之が独断で進めた事業で大損したというウソの報告を繰り返すことで、宏之の追放に成功した佃孝之・ロッ…
2022.3.23
第3回
船木春仁
日韓を股に掛ける巨大財閥を裸一貫から築いたカリスマの重光武雄。その後継者として、事業承継が行われるはずだった長男の宏之。その二人から経営権…
2022.3.9
第2回
船木春仁
ロッテにおける事業承継をめぐる騒動の原因を探る際に、一つ忘れてならないことがある。それは韓国の財閥が内包している構造的な問題だ。その成り立…
2022.2.23
第1回
船木春仁
ピーク時には連結売上高が7兆円に迫った大財閥ロッテグループを一代で築き上げた重光武雄(韓国名・辛格浩=シン・キョクホ)。売上高のほとんどは…
2022.2.9