「2科・4科」の壁をどうするのか
中学受験が今日のように大衆化した要因の1つとして、受験塾の働きかけで広まった国語・算数・理科・社会の4科もしくは国語・算数の2科という入試のスタイルが各校で多く採用されたことが挙げられる。
入試問題の難易はあるものの、同じような入試を行うことでどの学校も受験生を増やすことができた。これがある種の壁となっているのではないかという指摘がなされている。
オンライン入試では、単純に知識を問うような出題はしづらいという指摘もあった。また、一定の学力の担保であるならば、民間模試でのスコアで十分ではないかという意見も出た。基礎学力の担保という側面では、私立中高一貫校の求める生徒像にはあまり変わりはないわけで、あとは学力の差だけとなる。
今では女子高を中心とした伝統校でわずかに行われているにすぎない面接も、以前はより多くの学校で行われていた。オンライン入試で面接の重要性を指摘する声は多かったものの、受験するのは小6生である。物おじしないタイプなのか、物静かなタイプなのか、緊張することが多いタイプなのか。その生徒の性格による部分が大きく出てしまうこともあって、面接する側の見抜く目が問われる。ハキハキとしているからいいというわけではなく、むしろ自校の教育によって変わる可能性がどのくらいあるのかを見極める必要が出てくる。
学力試験一本で測るという中学入試はその点で分かりやすいものであった。だが、もはや学校の求める力を測るための指標は1つではない。各校がゼロベースで本当に必要な入試はどのような姿なのかを話し合うことによって、その学校の目指したい教育がより鮮明になるのだろう。
受験生のことを考えれば、できるだけ早く方針を明らかにすることが望ましい。あまりに多種多様な入試が並ぶことも混乱を招きかねない。オンライン入試の実現の際にも、「2科・4科」のあり方にどのような修正を加えていくのか、そのひな型を示すことができた学校が、2021年入試を本当の意味でリードすることになるのかもしれない。