編入試験で「オンライン入試」を始めるかえつ有明

 東京湾岸、江東区東雲にあるかえつ有明中学校・高等学校は帰国生の比率が高い私立中高一貫校の1つである。帰国生のための編入試験は随時行っており、新型コロナ禍の影響で帰国もままならない現状に鑑みて、7月実施分は「オンライン入試」を行うことになった。

 出願時に志願票に学習履歴や日本語能力、志望動機、簡単な自己PRを記入し、現地教員らの目を通した生徒の状況についても書いてもらう。英語力は検定試験のスコアの提出で現状を把握しようとしている。

 Web会議ツール「Zoom」を利用して自宅で受験できる。エッセーを英語で書く様子をZoomで中継しながら、答案はカメラで写したものを送ってもらう。そして、同校の英語のネイティブ教員と、やはりZoomを利用したディスカッションを行う。基本的にはこれだけである。

 こうした実践が、秋口から本格的に実施される2021年入学者のための帰国生入試や年明けに行われる一般入試に反映することはできるのか。その点に関して、発言が相次いだ。

 入試は公正に行われる必要がある。近くでアシストする大人がいないか確認するため、カメラを回して室内を写してもらったらどうかという意見もあったが、カメラの後ろにいて一緒に回転すれば分からないという指摘も出た。不正行為を完全に排除することは容易ではない。

 前回、開成学園がオンライン中間考査を実施したことに触れた。公正性という問題はどこまでもついて回るが、生徒への信頼を基礎に、この非常時を乗り切ろうという計画的な取り組みであることをご紹介した。入試の場合にはもう一段の工夫が必要となる。

 エッセーを事前に書いてもらい、Zoomで面接しながら、「この情報はどのようにして見つけたの?」といった問いかけをすることで、その生徒の資質を測ることもできる、あるいは10分程度の動画を見せてからエッセーを書いてもらい、面接をするという方法もある。

 このように、鍵となるのは面接だろうという点では意見が一致したものの、志願票に書かれた志望動機を尋ねるような一般的なものでは事前に対策を準備されてしまう。この点は就職試験と相通じるところがありそうだ。