サッカー部やラグビー部の活動も盛ん。受け継がれる文武両道の校風
恩藏直人(おんぞう・なおと)
早稲田大学系属早稲田実業学校学校長(高等部中等部校長)
早稲田大学商学学術院教授

 

1959年神奈川生まれ。早稲田大学商学部卒業後、同学部助手、専任講師、助教授を経て、96年教授。早稲田大学商学学術院長、商学部学部長、公認会計士試験委員、早稲田大学常任理事などを歴任。マーケティング研究の第一人者として著書多数。

 

 

 

 

いまだに早稲田鶴巻町にあると思われている

――今年4月に中等部と高等部の学校長に着任されて、1学期が終わりました。大学と比べていかがですか。

恩藏 全く違いますね。大学の場合、学生と向かい合っていればいいのですが、中高では生徒の後ろには常に父母がいます。その違いはものすごく大きいですね。

――早稲田実業学校(早実)といえば、昔は早稲田キャンパスの近くに校舎がありました。移転してからは、だいぶ趣の異なる生徒も出ているのでは。

恩藏   早稲田大の卒業生であっても、早実はいまだに男子校で、早稲田鶴巻町に校舎があると思っている人が多い(笑)。いかに昔の印象が強いか。共学化したことも知らないし、初等部があることは当然知らない。「国分寺です」というと、「JR中央線沿線でアクセスはいいでしょうが、早稲田からは遠いねえ」と(笑)。跡地はいま、121号館として大学の産学連携の拠点となっています。

――2001年にこちらに移転してから、20年余が過ぎていますのに。

恩藏 さすがに小中高の受験を経験した方は皆さんご存じですが、全体としてはまだまだ知られていないようです。

――この4月に行われた四谷大塚の模試で、第一志望者が一番多かったのが早実でした。共学校の中で一番ということは以前もありましたが、男女別学校も併せた全体のトップというのは初めてではないでしょうか。進学校ではなく、付属校がトップに来ることも非常に珍しい。たいへんな人気です。

恩藏 大変うれしいのですが、その人気は以前からなのですか。女子の人気が高く、難しいと聞いています。

――共学校では、以前からトップです。女子の募集人員が少ないことも原因と思いますが、女子枠を広げて50:50まで持っていきますか。

恩藏 まず大学の事情から申し上げますと、女子学生の比率は、文学部と文化構想学部、教育学部が高く、商学部と政治経済学部がだいたい平均値で、大学全体では約4割となっています。この女子学生の比率を、大学のビジョンでは5割に持っていきたいと考えています。世の中の動きも考えれば、完全に男女半々に持っていくかは別として、系属校としていまよりも増やしたいと考えています。

――現状はどのくらいですか。

恩藏 中高の在校生1760人のうち、男子は1133人、女子は627人(36%)です。ここで問題となるのが、早実は「文武両道」の学校という点なのです。

 野球やラグビーといった早実の文武両道を支えている部活動は、男女混合チームでは出場できません。男子の生徒数を減らしていくと、どうしても選手層が薄くなってしまいます。

――中学入試では総合選抜ではなく、男女別の枠が残るものの、男女半々に近づける方向ということですね。

恩藏 男女半々まで持っていくのか、6:4程度に留めるのかは、これから考えることです。 

早実といえば、まずは野球部。歴代の優勝旗などが飾られたコーナー