
柏木理佳
第26回
中国のアンケートでは「今後の米中関係はどうなるか」の質問に対して5割以上が悪化すると答えている。また、「オバマ氏は貿易問題で中国に圧力をかけ、波乱が生じるだろう」という意見が3割以上もいる。

第25回
中国も失業率は日本と同じ4%だが、実際には数字以上に深刻な状態である。中国の場合、2億人近くもいる出稼ぎ労働者の数は失業率の中に含まれていない。職を失い農村地域に帰省できない人は駅で寝泊りする。

第24回
中国経済が低迷している中、2009年の中国は波乱の年になりそうだ。1年間で五輪特需によるバブルとその崩壊と両方を経験した中国だが、さて、2009年はどうなるのか?

第23回
中国に行くと、大学の教授や社会科学院の研究員など経済の専門家たちがそろって口にする言葉がある。「今こそ、アメリカを買うべきだ!」である。その勢いは、これまでの恨みを晴らすかのようである。

第22回
発電所の排煙からSOxを取り除く排煙脱硫装置は、日本ではすでに新型の火力発電所へ移行したため、近年は使われなくなった。日本市場では需要の無くなった技術を、低コストで中国に導入したという形になる。

第21回
ポスト京都議定書で、中国はこれまでの安易なエネルギー効率ではすまされなくなる。その前提となる会議(COP14)で中国に対する規制強化は免れず、その圧力に対して中国は必死に言い訳を探している。

第20回
欧米の経済が低迷する中、経済大国となった中国の存在は大きい。そもそも米国発の金融危機で世界中が打撃を受けている中、中国の痛手は少ない。金融面の打撃は欧米に比較して限定的である。

第19回
中国の深刻な食品問題を根本的に解決するには、実は農業の改革が必要不可欠だ。貧困な農村地域では、農薬使用のリスクや、工業地域からの汚染された水による農業への悪影響さえ、理解する場が与えられていない。

第18回
中国の水道は、飲み水として使えないものが75%を占めるが、地方では不衛生な水を飲むしか選択肢がないところがほとんどである。意図的なメラミンの混入よりも、さらに根が深い問題ともいえる。

第17回
中国には、排水基準に違反している企業が公表されるサイトがある。中国国内企業も対象であるが、中国に進出しているすべての外資系企業も対象となっている。もちろん日本企業も含まれる。

第16回
北京五輪でどの会場の販売店、繁華街のマクドナルドに行っても不親切なことがあった。500mlのミネラルウォーターを10人分購入しても袋をくれない。背景には深刻な資源不足がある。

第15回
準備が間に合わず、規制ばかりが目に付くドタバタの北京五輪
8月8日の北京五輪まであと少し。私は柔道やバレーボールなどを観戦するが、五輪を迎える北京の準備態勢はまったく整っているとはいえない。

第14回
この受賞に何より意味があるのは、天安門事件のことが書かれた本が、中国ではなく、日本で評価されたことである。楊逸氏の芥川賞受賞は、中国の変化を触発する大きなきっかけになるだろう。

第13回
IOCは「北京の大気はかなり改善された。一部の世界のメディアは無責任な報道をしている」と発表した。メダル獲得できないのを大気のせいにされ、北京開催を決めたIOCのせいにされたくない意向が見え隠する。

第12回
日中は東シナ海ガス田の共同開発で合意した。日本側には、本当に資源を必要としている必死さがなく、中国ほど将来のことを深刻に考えていないことが、今回の交渉の甘さにはみられた。

第11回
最低限の生活ができないと悲鳴を上げている日本だが、悲鳴の大きさは日本より中国のほうが激しいかもしれない。とはいえ食料事情でいえば、大局的にみて日本は中国よりもっと深刻な事態に陥る。

第10回
今回の地震の復興作業には、数年はかかるだろう。地方に工場が多い製造業においては、原材料不足や人民元高騰によって輸出が減少し、経済は大きな打撃を受ける。GDPへの影響は、一時的では収まらない。

第9回
4月20日に北京で行われたマラソンの五輪プレ大会で、不自然な大雨が降って選手を驚かせた。この雨は人工的に降らせたもの。中国環境保護省は、大気汚染が20日は良、21日は優だったと成果を強調した。

第8回
そもそもスポーツと政治は本来別の問題である。各国の首相が開幕式に不参加を表明しても、聖火リレーで抗議しても、中国政府に対しては逆効果である。よけい面子をつぶされて意地になるだけだ。

第7回
中国の株価は3500ポイントの水準まで下落している。崩壊した政府の管理、そして未熟な市場経済。中国経済は、北京五輪を待たずに、すでにバブル崩壊=株価下落サイクルに突入した可能性が高い。
