姫田小夏
第83回
「5年間で6人の首相」。中国紙は8月31日、第95代首相に野田佳彦氏が選出された記事に対し、こんな見出しをつけた。5人目の菅直人首相の時までは、日本の首相の交代は上海市井の格好の話題だった。しかし今回は――。

第82回
中国各地で国民の不満が噴出している。今夏、上海虹橋国際空港では、近隣住民が飛行機の騒音で安眠できないことを理由に抗議活動を行った。警備の厳しい上海の空港で抗議活動が起こるとは、信じられない変化である。

第81回
1人当たりGDPが1万ドルを突破した上海が、一大消費地として成長を続けている。市街地で目にする消費の実態は、ワンランク上の生活を渇望する現状を示唆している。上海市民の消費性向と、その社会的背景を探った。

第80回
中国鉄道部が重視していたのはおよそ「人命、安全」などではなく、己の懐の肥やし方であることを物語るエピソードがある。鉄道部の予算をほしいままにし、巨万の富を築いた男と女がいるのだ。

第79回
共産党国家の中国で教育の国際化が猛スピードで進んでいる。上海では、欧米型メソッドを導入しグローバル人材の育成に乗り出す教育機関も増え、そこで日本の子どもたちも国際化の波に乗ろうと頑張っている。

第78回
魯迅がかつて留学していたという東北大学は、日中友好のシンボルとしての役割を今も担っている。「魯迅に憧れて」と門をくぐる中国からの留学生も少なくない。その東北大学が今、大学総長の研究不正疑惑で揺れている。

第77回
日本の中小不動産業者が、中国人顧客の開拓に本気だ。なかには中国人社員を雇って宅建を取らせる企業もあれば、中国語通訳を立ち会わせ7時間もの長丁場に汗だくで臨む「重要事項説明会」もある。

第76回
震災直後、中国人観光客が銀座の街から姿を消した。横付けされる観光バスから街に繰り出し、両手一杯にショッピングバッグを抱えた中国人観光客は、福島第一原発の事故とともに、潮が引くように見られなくなった。

第75回
「『インフレ対策のために不動産を買っておけ』と言うのはでたらめ、今不動産を持っている人はすぐに売り払ってしまえ」中国の著名エコノミスト、謝国忠氏の発言が波紋を呼んでいる。

第74回
町工場では水面下で中国シフトが始まっている。2010年から本格化した第4次中国進出ブームも、3月11日以降、その動きをピタリと止めた。が、震災から1ヵ月を経て見えてきたのは、むしろその加速である。

第73回
先日、上海の友人Dはメールで「日本人は今、いったい何を食べているのか?」と尋ねてきた。どうやら中国では「日本の食品は全滅だ」と思われているようだ。

第72回
震災発生から1ヵ月、上海市場もその余波に襲われている。日本の食品販売をはじめとする物販業や、その食材を使っての飲食業は大打撃。現地でビジネスを展開する多くの日本人が頭を抱えている。

第71回
3月20日、羽田空港の中国線出国カウンターには中国人の長蛇の列ができていた。上海の虹橋空港では3月12~14日にかけて通常の3倍の入国者数を記録、浦東空港でも11~15日にかけて、およそ1万人の中国人が帰国した。

第70回
日本の地方銀行が中国に構える拠点の数が増えている。今年3月には群馬銀行、第四銀行が加わり、上海だけでも32行が駐在員事務所を置いている。日本の地銀は2月現在で63行、その半数以上が中国に出たというわけだ。

第69回
チュニジアのジャスミン革命を受けて、中国でも13都市で集会が持たれ、「茉莉花革命」に世界の注目が集まった。しかし北米発信の中国語サイト「多維新聞」は、「これはおふざけだった」という内容の記事を発表した。

第68回
在日中国人向けの中国語週刊紙である「東方時報」の1面に、菅直人首相の春節祝賀メッセージが掲載された。中国語で書かれた「菅直人首相向華人祝賀春節」の真っ赤な見出しは、上野駅の売店でも人目を引く。

第67回
中国消費市場への売り込みが熱い。とくに所得の高い上海市場に日本企業は攻勢をかけるが、現実は甘くはない。むしろ指摘されるのが上海市場に対する認識の甘さで、“迷信”に踊らされた日本企業が足元をすくわれている。

第66回
上海万博閉幕の熱気も冷めやらぬ昨年11月5日、地元紙「東方早報」は一面でミッキーマウスのイラストを掲げ、「上海ディズニーランド(SDL)が調印へ」と報じた。果たしてSDLは中国で成功できるだろうか。

第65回
師走を迎えようとする上海のオフィスで、女性たちの間をある「黄色い券」が飛び交っていた。この券をめぐって、社内の空気は色めき立ち、「行く、行かない」をめぐって電話やメールが頻繁にやりとりされる。

第64回
1~10月期の中国人訪日客数は前年同期比49%増と盛況だ。しかし訪日ツアーの「質」はどうなのだろうか。実態からは「おもてなし」を受けるどころか、「貧乏国ニッポン」に狼狽する中国人観光客の姿が浮かび上がる。
