共産党国家の中国で教育の国際化が猛スピードで進んでいる。中国・上海では、ハード、ソフトともに教育インフラの整備が進み、欧米型メソッドを導入しグローバル人材の育成に乗り出す教育機関も増えた。
中国国内の名門信仰から、時代はグローバルエリート育成にシフト。ケンブリッジ大学やハーバード大学など海外の名門への進学を目指す子どもたちもいる。そんな新たな競争が始まった上海で、日本の子どもたちも国際化の波に乗ろうと頑張っている。
“特殊かつ伝統的な偏差値教育”を振り切って、日本から上海に乗り込むケースもある。「優れている」とされてきた日本の教育に翳りが見えてきたためだ。上海には日本の教育システムには期待できない、最先端の学習環境があるという。
東京での名門中学受験をやめて
上海のインターナショナルスクールに転校
桜井雅之君(仮名)は今年17歳。10歳のときに東京から上海市内のインターナショナルスクールに転校した。
成績優秀な雅之君は、当時は中学受験を目指し開成中学を狙って猛勉強の日々だった。毎晩塾に通い、夜は9時過ぎての帰宅が続いた。それでも本人は“塾通い”を楽しんでいた。むしろ塾よりも学校が苦痛だった。授業中、先生の質問に手を挙げて回答するだけで「あいつはカッコつけてる」と言われ、周囲からいじめを受けた。次第に雅之君からは生き生きとした表情が薄れていった。
母親は萎縮する息子を不憫に思い、環境を変えることを決断した。当時父親は単身で上海で仕事をしていたことから、「パパのいる上海へ行こうか」と考え始めた。雅之君は「名門中学の受験、ここまで準備してきたのに」と後ろ髪をひかれたものの、最終的には自分の意志で上海行きを選んだ。
転校したインターナショナルスクールは、授業について行くのがやっとだった。担任に呼び出され、「この成績じゃ…」と警告されたこともあった。だが、その後、雅之君は急成長。今では英語も中国語もネイティブ並みに成長し、成績もトップクラス。目下、欧米の大学進学を目指している。
母親はこう言う。