5人目までは格好の話題
しかし6人目ともなると…
「5年間で6人の首相」。中国の各紙は8月31日、第95代首相に野田佳彦氏が選出された記事に対し、こんな見出しをつけた。
「あんたたちの首相はまた替わっただろ」――。
鬼の首を取ったかのような突っ込みを覚悟せざるを得なかった。過去5年に6人の首相。5人目の菅直人首相の時までは、日本の首相の交代は上海市井の格好の話題だったからだ。当時、その嘲笑の目は日本人である筆者にも向けられた。
だが、さすがに6人目の交代となると、やや空気が違う。
もはや“格好の突っ込みネタ”を通り越して“無関心”的空気が漂う。あれほど日中関係に敏感な反応を示す中国のメディアや「網民」(ネットユーザー)の反応からは、以前にあったような日本の新首相への関心が感じ取れない。
老百姓と呼ばれる一般庶民ならなおさらである。
「イエティエン・ジャーイェン(野田佳彦)を知ってるか」と訊いても、「はぁ?」という鈍い反応しか返ってこない。
外交、軍事面に強い現地紙「環球時報」は8月30日、「歴史問題には強硬な姿勢、党内内紛を利用した意外な勝利」というサブタイトルをつけ、「鷹派が日本の新首相に就いた」と一面で報じた。しかし、それ以来、同紙が新首相について大きく紙面を割くことはなかった。
9月6日には新内閣組閣が伝えられたが、記事の内容は日本国内や欧米の新聞の引用にすぎなかった。中国人の反応が薄い理由は「新大臣の知名度が低く、中国の記者が認識しておらず、ほとんど取材ができなかったため」(事情通)だ。またリビア情勢にも押された。そのため、中国の市井には新首相就任のニュースは十分には伝わっていないのが現状だ。