絶望している人に寄り添う絶望名言写真はイメージです Photo:PIXTA

「いくら生きたいと思っていても、
死が救いに思われるほどつらい現実がある」

 本書『NHKラジオ深夜便 絶望名言』は、NHKの『ラジオ深夜便』の人気コーナーである、『絶望名言』を書籍化したものである。

『NHKラジオ深夜便 絶望名言』書影『NHKラジオ深夜便 絶望名言』 頭木弘樹著 飛鳥新社刊 1389円+税

 著者の頭木弘樹氏は、大学3年の時に難病にかかり、その後13年間の入退院生活を余儀なくされ、宮古島に住むようになった今でも完治はしていない。ベッドに寝ているだけの状態になり、完璧に無能な存在になった時に出会った、「ぼくは人生に必要な能力を、なにひとつ備えておらず、ただ人間的な弱みしか持っていない。無能、あらゆる点で、しかも完璧に。」というカフカの言葉が救いとなった経験から、『絶望名人カフカの人生論』という本を出版し、それがきっかけで、このラジオ番組を始めることになったという。

「自殺を考えたことはありますか?」という質問から始まった、NHKラジオのディレクターとの対話の中で、著者の口から、「いくら生きたいと思っていても、死が救いに思われるほどつらい現実がある」という言葉が出た時に、この番組の軸がしっかりと定まったそうだ。