竹田孝洋
FRBは大きくかじを切った。1月のFOMCで利上げを見送っただけではなく当面停止することを表明し、バランスシート縮小についても停止時期を検討していることを明らかにした。FRBの決定を受け、株価は上昇しているが、楽観し過ぎの面は否めない。

中国経済減速の底が見えない。1月21日に発表された中国の2018年のGDP(国内総生産)成長率は前年比6.6%と目標の6.5%前後は上回ったものの、28年ぶりの低水準にとどまった。

年初の株式・為替市場は大きく動揺した。米アップルの業績下方修正を契機に株価は急落、円高が進行した。FRBのパウエル議長が利上げ・金融正常化を急がない方針を示し、市場は落ち着いた。しかし、経済指標などを分析していくと、むしろ景気減速懸念が高まっていることが浮かんでくる。

株式の上昇相場は終わった。26日は、日経平均株価は反発、ニューヨークダウも年末商戦の好調が伝えられたこともあり、前日比1086ドル高と史上最大の上げ幅となった。しかし、当面、株価が再び上値を追って高値を更新することは望みにくい。それは株価を下落させた要因がしばらく改善する見込みがないからだ。

2019年の日本経済の見通しについて敏腕エコノミスト8人に聞いた。海外経済の減速がマイナスに作用するが、省力化中心に設備投資が拡大し、景気を支えるだろうとの予想が大半を占めた。

貿易戦争に絡む米国と中国のその場しのぎの妥協の危うさを、金融・資本市場は見抜いているようだ。
