タリーズコーヒージャパン創業者の松田公太氏がホスト役を務め、日本社会に新風を吹かせる“アウトサイダー”と対談する本連載。参議院議員退任後、最初となる回のゲストは、経沢香保子さん(株式会社キッズライン代表取締役CEO)。二人とも20代で起業し、上場も達成。しかし、一見順風満帆に見える起業家人生にあって数々の試練も経験した。そして経沢さんはITを駆使した斬新なベビーシッター事業で再起業。民間に復帰して新事業に動き出す松田さんと「今だからこそできる」新しい挑戦について語り合った。
「ベビーシッター」は根付く?
普及へのカギは価格と…
松田 この連載、私が国会議員を退任してからは初めての対談です。2010年の参院選に出馬した際には連日応援いただき、私が政治家になる「見届け人」でした。街頭演説もお上手でしたね(笑)。おかげさまで当選できました。
経沢 いやいや、とんでもないです。6年間本当にお疲れ様でした。選挙をお手伝いするのは初めてのこと。「街頭活動は朝8時から夜8時まで」とか「ボランティアの人たちにお弁当を出しちゃいけない」とか慣れないことばかり。当時は選挙期間中にネットが使えなくて、「なんじゃそりゃ!?」と思わず怒ったことも(笑)。でも、選挙前にネットでボランティアを募ったら、ものすごい数の人が手を挙げてくださって感動しました。
松田 正直言うと、あの選挙が一番楽しかったです。経沢さんとお知り合いになったのはもう10年以上前。最初は経営者の集まりでしたね。以来、ずっとご活躍ですが、今度は、ベビーシッターで起業をされたと聞いて素晴らしいと思いました。私自身、アメリカで過ごした高校生の頃、ベビーシッターのアルバイトをしましたし、親になってからは、タリーズの経営を離れてシンガポールに滞在していた時に利用した経験から、そう感じました。なぜこの事業に新しくチャレンジされたのですか。
経沢 トレンダーズで上場した後、女性のライフスタイルの進化を支えるための3つの挑戦を軸に展開したいと考えていました。美しくありたい女性のための美容事業、自立した仕事で生きていける選択肢の提示としての女性起業塾、そして育児・パートナーシップの分野。3つ目については残念ながら前の会社で実行する機会がないまま経営を離れたのですが、現在の社会を見渡したときに、女性がいきいきと働くうえでの、一番ボトルネックになっていたのが、仕事と両立するための育児支援が社会的に足りないことだと改めて痛感しました。自分自身、子育てしながら上場に持っていくまで仕事ができたのは、保育園はもちろんですが、ベビーシッターさんの助けも大きかったです。