いよいよ景気回復イヤーが開幕
金融政策が相場変動の触媒に

 思った以上に景気は強い。昨年末に発表された11月の鉱工業生産は、前月比+1.0%と6ヵ月ぶりに上昇した。また、出荷が同+2.5%と生産以上に高い伸びを示し、上昇傾向にあった在庫と在庫率は、共に低下している。

 さらに、生産予測調査では12月が前月比+3.4%、1月は同+3.7%と大幅に上昇しており、昨年夏場から踊り場局面を迎えていた生産が、再び上昇局面に入る見通しとなった。

 リーマンショック後の生産予測指数を振り返ると、FedがQE1を導入して上振れに転じ、QE1が終了して下振れに転じ始め、QE2が導入されてから再び大きく上振れた形になる。ここに金融政策と効果のタイムラグはない。米国の金融政策で全て説明できるわけではないが、基軸通貨ドルの過剰流動性が新興国市場等を通じて世界経済に大きな影響を及ぼしてきた可能性が示唆されている。

 生産の基調、すなわち景気局面が小刻みに変化する傾向は、21世紀に入ってからの典型パターンでもある。企業が恒常的に在庫投資や設備投資、雇用に対して慎重なだけに、過剰在庫や過剰資本ストック、過剰雇用が生じることなく、伝統的なメカニズムによる景気循環は発生し難い。そのぶん、政府の経済政策や企業の年度計画などを背景に、小刻みな景気変動を繰り返す傾向が発現している。

 ITバブル崩壊後の「小刻みな景気変動」を振り返ると、おおむね2年程度の周期が観測される。日本の景気ウォッチャー指数や米国の製造業ISM指数は、西暦偶数年にピークを付け、奇数年に底入れするリズムを繰り返してきた。