その昔の日本は衛生状態が劣悪でピロリ菌感染率が高く、胃炎のために胃酸の分泌も弱々しかった。しかし、衛生状態が改善された今、新たな感染率は数パーセント、保菌者数も減少している。さらにこの間、食事内容が大きく変化した。その結果が、食道括約筋の機能不全と胃酸分泌過多によるGERDの増加なのだ。胃が元気なばかりに、病気になるとは腑に落ちない話だが。

 ともあれ胃酸が原因の一端なのだから、治療は胃酸の分泌を抑えることに尽きる。現在使用できる最も強力な薬はプロトンポンプ阻害剤(PPI)。処方薬なので、まずは医者にかかろう。自覚症状の問診で十中八九、PPIが処方されるはずだ。PPIを7日間飲んでみて胸焼けなどが治まるようなら、GERDと診断される。

 PPIは強力に胃酸分泌を抑えるので症状が劇的に改善される。「パラダイスを知ってしまったら、もう地獄には戻れない」といわれるほどだ。快適な状態を経験して初めて、生活の質がどれだけ侵害されていたか気づくというわけ。胸焼けだけでなく、のどの違和感、咳などGERDと関連する不快感は案外、多い。不眠症との関係も指摘されている。安易に睡眠薬を頼る前に、近隣の消化器内科に行ってみよう。