消費者をはじめとするクレーマーへの対応は、企業にとって悩みのタネだ。しかし対応を誤ると、場合によっては「本人が会社に怒鳴り込んでくる」という緊急事態にもなりかねない。そもそも自社の商品やサービス、顧客対応が原因のクレームならば、それに真摯に対応するのは社員の責任である。よく「クレーマーに逆ギレした」などという話を耳にするが、もってのほかだろう。クレームへの対応こそ、社員の真のコミュニケーション力が試される。

●取引先とのトラブル

「言った言わないで問題になり、取引停止になりました」(36歳男性/技術系/東京都)、「電話対応が悪く、相手に怒られ仕事が減らされた」(30歳女性/事務系など/栃木県)、「クライアントの電話対応が雑で、ただそれだけの理由で契約の打ち切りに発展したことがある」(30歳男性/自営業(自由業含む)/東京都)

 電話対応1つで、重要な顧客との取引が停止に追い込まれるリスクさえある。たとえば、仕入れ・納入をルーティンで行うだけの関係ではなく、商品の企画・開発段階から取引先と深く関わりあうプロジェクトなどにおいては、そこでの人間関係は通常よりも濃いものになるだろう。お互いの人間性が重視される側面が強くなるぶん、日々の電話のやり取りの中で起きる「ちょっとした感情の行き違い」が、取引そのものを揺るがしかねない大きなすれ違いに発展することもあり得るのだ。

基本スキルだからこそ
企業は社員教育に力を入れるべき

 ここまで見て来てわかる通り、社員の電話マナーは「古くて新しい」問題なのである。とはいえ、電話対応は個人のコミュニケーションスキルと深く関わってくる以上、社員1人1人が意識するだけで必ずしも向上するものではない。社内における一定の教育・研修が必要と思われる。

 しかし、実はそれらにきちんと取り組んでいる企業は多くないのが実情だ。「あなたの職場では、社員に対して電話対応をきちんと指導していますか」という質問に対しての回答結果は、「指導している」が全体の2割強に留まり、「指導していない」「どちらとも言えない」が合わせて全体の7割を占めた。

 今後企業は、社員の電話マナー向上にどう取り組めばいいのか。本アンケート調査では、「適切な電話対応ができない社員に対して、会社はどのような対策をすべきだと思いますか」(複数回答可)という質問も行った。

 結果は上のグラフの通りだが、最も多かった回答は、「上司や先輩をはじめ、周囲の人がきちんと指導するべき」(40.8%)というものだった。やはり、個人のセンスによるところが大きい電話対応能力の向上には、現場でのOJTが重要と思われていることがわかる。また、それを補足するものとして、「適切な電話対応についてのマニュアルを社内で整備すべき」(35.2%)、「総務部や社外のコンサル会社などが、社員に対して『適切な電話対応』を教える研修を定期的に行なうべき」(14.4%)という回答も多かった(いずれも総回答数284に対する割合)。

 冒頭で述べた通り、消費者や取引先は社員の電話対応を通じて「企業の格」を見ている。最も基本的なスキルだからこそ、企業はいま一度社員の電話対応のあり方を見直してみるべきではないだろうか。

(ダイヤモンド・オンライン 小尾拓也)