“深く究める能力”は
ますます稀少価値を持つ

ディープ・ワークは今日のビジネス状況下で優先されるべきである。だが、実際はそうではない。この逆説について、さまざまな説明をしてきた。

 その中には、ディープ・ワークは難しく、シャロー・ワークはよりたやすいという現実、あなたの仕事に明確な目標がないときシャロー・ワークをめぐる目に見える多忙は自己保存になるという現実、そして、私たちの文化は、「インターネット」に関係する行動は望ましいという考えを生み出したという現実がある。こうしたトレンドすべてを可能にしているのが、ディープ・ワークの価値あるいはそれを無視することのコストを直接計ることの難しさだ。

 ディープ・ワークの価値を信じれば、この現実は概してビジネスにとって悪いニュースになる。価値創造の大幅増加の可能性を逃してしまうからだ。しかし、“あなた”個人にとっては、よいニュースが潜んでいる。同僚や雇用主の目先のことしか考えない物の見方によって、大きな個人的利点が明らかになる。

 ここで概略を述べたトレンドの推定をつづければ、ディープ・ワークはますます稀になり、それゆえますます有益になるだろう。ディープ・ワークについては損なわれるものは何もなく、気を散らす行動については必要なものは何もないことがはっきりすれば、あなたは自信を持って本書の最終的な目標を追究することができるだろう。つまり、深く究める能力を順序立てて伸ばすこと──そして、そうすることで素晴らしい報いを得ることを。