──人間性善説に頼っている場合ではない?

石田 私が提唱しているBBS(組織行動セーフティマネジメント)は、人を疑ってかかるということではありません。個人の態度や意識に関係なく、ただ、人間の危険につながる行動を安全行動に変える、というだけ。とるべき安全行動を明確に示し、従業員がその行動を継続して習慣化してくれるようにするだけのことです。

 従業員のことを本当に考えるならば、良い行動がとれるように、そして、悪い行動はとれないようにしてあげることが必要でしょう。

──なるほど、悪い誘惑のない環境づくりということですか?

石田 業務上横領を働くような従業員も、最初はほんの少しの額をごまかしたにすぎないのではないでしょうか。それをチェックする体制がなかったから、どんどんエスカレートしてしまう。まさか、最初から着服することを計画して就職したわけではないでしょう。

 こうした事件では、たいてい、長年一人の従業員が担当していたといったことが伝えられます。「信頼して任せていたのに」と嘆く経営者がいますが、チェック体制をつくっていなかった経営者のミスでもあるのです。

 本当はいい仕事をしてくれるはずの従業員が、逆の行動をとることなどできない仕組みをつくっておくのがお互いのためなのです。


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安全のための小さな確認を怠ったために起こる重大事故、コンプライアンス上の小さなミスが引き起こした巨額の訴訟沙汰など、企業にとっていつ何が起こるか予想できない今、組織のトップやマネジャーは従業員の行動を安全行動に変える、組織行動セーフティを身につけなければならない。その理念と実践手順を解説。

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