従業員の「危険行動」を「安全行動」に変えるBBSは、製造現場などの事故に備えるだけでなく、コンプライアンス対策や情報管理にも、大きな成果を上げている。ネットで容易に情報が流せる今だからこそ、不祥事を起こさないための仕組みが重要と説く、石田淳氏に聞く。(インタビュアー:中村富美枝)
一従業員を責めても、事故はなくならない
──コンプライアンス遵守や顧客情報管理は、これからの企業の行方を左右する重大要素ですが、なかなかうまくいかずに苦しんでいるところが多いようですね。
石田 ネット社会になって、誰だって簡単に情報を流すことができる時代ですからね。携帯のカメラや音声記録装置で、こっそりとったデータを流出させることは素人にも充分に可能です。実際に、東京のホテル内レストランのアルバイト従業員が、ツイッターで芸能人のプライベートを暴露するという事件がありました。
──たとえアルバイトとはいえ、顧客情報を流すなど、ホテル従業員の風上にも置けないという気がしますが。
石田 いえいえ、そこにフォーカスしてはいけないんです。ホテル全体の信用を失うような事故はたった一人の従業員の行動から起きるのですが、その従業員を個人攻撃していても事故はなくなりません。そうではなくて、顧客情報を流すことができない仕組みをつくりあげなければなりません。
たとえばですが、従業員が制服に着替えるときに、携帯電話など、映像や音声を収録できるようなものは、すべてチェックして提出させるというような仕組みですね。罰則も含めて、最初からそういうシステムをつくることが必要です。