Q2 娘が「大学には行かない。専門学校にする」と言っています。反対しても、学校案内の資料を持ち出してきて「映像をやるのにはそのほうが現実的だ」と訴えます。進学高校に通っており、これまでは学業にも真面目でした。困っています。

A2 学歴社会にきっぱり背を向けて自分の興味にまっしぐら、という元気な受験生は、男子よりも女子に増えてきている感じがします。当人が自分の選んだ進路のリスクを認識しているのなら、専門学校もアリかもしれません。

 ただ娘さんには、以下の話だけをきちんとお伝えください。映像や美術といった、いわゆるクリエイティブ系の職業は実力社会です。教育機関で教えてもらったスキルで勝負できるほど、甘い世界ではありません。そういった意味では大学の関連学部に入ろうが、専門学校に進もうが同じこと。

 こうした話にいささかでも躊躇するところがあるようでしたら「どうせ同じなら大学だって現実的だ」と、専門学校との併願を勧めてみる手もあるでしょう。少ないながら、映像技術を扱う大学や、プロを幾人も輩出した課外サークル活動で知られる大学もあります。

 また、テレビ局など映像方面のマスコミ就職を考える場合は、高偏差値大学の卒業が必要最低条件です。

 以上のようなことも調べぬまま「夢」ばかり見ている娘さんだったならば、親御さんはより頑固に反対なさってもかまいません。

Q3 息子は自立心旺盛な人間になるよう育てました。そのせいか、「日本の大学はダメだから」とアメリカ留学を希望しています。日本の大学については私も同意見ですが、帰国後の日本社会での偏見などを考えると迷います。

A3 アメリカの大学だけを卒業して、日本の会社への就職は可能か?ご質問の要旨はそのようなことだと理解させていただいて、お答えします。

 いわゆる日本の一流企業の新卒採用では、日本の大学の卒業者であることが基本条件です。日本の一流大学を卒業後、アメリカの一流ビジネススクールなどを修了して、MBAホルダーとして就職を狙うならば別ですが、そうでなければ圧倒的に不利です。

 これは「日本社会の偏見」のせいではなく、日本の大学入試が、ホワイトカラーのサラリーマンの選別装置として結果的に機能しているためだと思います。

「日本の大学はダメだから」と言う受験生のたいていは、「つらい日本の大学入試から逃げたいから」だったりします。「逃げたいから」あるいは「失敗したから」、海外留学していく若者たちが少なからずいます。そうした言い訳を、企業社会は容易に見抜いてしまうものです。多少きついことを申しましたが、質問者も実はご承知のことではないでしょうか。