それでも買う!狂乱の市場に克つ! マンション 最強の売買&管理術#25Photo:PIXTA

マンション管理の基本法ともいえる区分所有法が約25年ぶりとなる大幅改正となる。マンションの住人とオーナーの大多数の賛同を得ないと進まなかった老朽マンションの建替えが加速するのではないかと期待が集まっているが……。特集『それでも買う!狂乱の市場に克つ! マンション 最強の売買&管理術』(全33回)の#25では、管理組合理事のみならず、マンションの住人やオーナーにも影響が甚大なその変更内容について、専門家が詳しく解説した。(ダイヤモンド編集部 鈴木洋子)

改正区分所有法が国会で成立、2026年4月施行へ
マンション管理と建替えにはどう影響するのか

 5月23日。改正区分所有法が参議院本会議で可決、成立した。同時に成立した改正マンション建替円滑化法、改正マンション管理適正化法と並び2026年4月に施行となる。

 マンションの日常管理から住人の合意形成や大規模修繕、そして建替えに至るまで、マンション管理においてのいわば「憲法」ともいうべき存在が区分所有法だ。だが、1962年の高度経済成長期に成立し、団地型の集合住宅を前提として作られた区分所有法は、その後の都市部のタワーマンションの増加や、オーナーと居住者が異なったり、オーナーに外国籍の人が増えたりするなどの時代の変化に対応できていないという批判があった。

 特に問題とされたのが、マンションを取り壊して建替える場合の扱いである。共有財産であるマンションを滅却するという判断は重く、83年までは区分所有者の全員一致でなければ認められなかったが、その後5分の4まで緩和され、今回はさらに大幅な改正となったものだ。

 築古マンションをどうするか、特に現在の耐震基準を満たす補強がなされていないものも多い、81年5月31日以前に建築確認を受けた旧耐震基準マンションをどうするかは、しばしば問題になってきた。築年数が古く、かつ住んでいる住人の高齢化が進んでいる、管理状態も良くないという三重苦にあるマンションも多い。こうしたマンションに住んでいる人で、なんとか建替えで我がマンションを再生させたいと思う人も多いのではないだろうか。

 建替え要件に関しては02年以来の約25年ぶり、さらにその他の内容となると法律制定以来の大型改正だ、と注目が集まる改正区分所有法。いったい何がどう変わるのだろうか。現在築古マンションを所有している区分所有者や管理組合、そして築古マンションを購入したいと考える人にとってどんな影響が出てくるのだろうか。これまで困難だったマンションの建替えは進むのか。また、これまでにあまりなかった新しいやり方でのマンションの再生方法も出てきそうだ。次ページでは専門家の解説も交えながら詳しく見ていこう。