板東浩二(ばんどう・こうじ)/1953年、徳島県生まれ。徳島大学工学部電子工学科を卒業し、77年に日本電信電話公社(現NTT)入社。96年3月、マルチメディアビジネス開発部担当部長に、98年7月にNTTぷらら代表取締役社長に就任。プロバイダ事業、映像配信事業など時流に乗ったフィールドでビジネスを開始し、会員600万人、売上800億円規模の企業へと成長させる。

板東 なるほど!

別所 ランキングとアーカイブの方法も進化していくはずです。将来的にはテレビに付いているカメラで、「泣いた」「笑った」といった視聴者のリアクションを分析し、感情指数のようなものをつくって伝える、といった方法もできるかもしれない。すると、作り手もより正確なフィードバックを受けることになり、作品のクオリティが上がっていく。

 そして、ショートフィルムの市場ができれば、海外の作り手が「何かやりたい」と考えたとき「とりあえず日本に行ってみようよ」という流れもできるはずです。既に「ショートショート フィルムフェスティバル & アジア」には、世界中から毎年9000本近くの作品が集まっています。これをビジネスとして活かすプラットフォームをつくっていきたいんです。

板東 そのプラットフォームが構築できれば素晴らしいですね。才能を集める仕組みになります!

別所 そうなんです。

起承転結の作品より
「奇想天外」を!

板東 最後にうかがいたいのですが、別所さんがお持ちの「次の時代をつかむ秘訣」はありますか?

別所 俳優としても同じなのですが、想像力、イマジネーション力だと思います。経験はとても大切で、ロバート・デ・ニーロさんは3ヵ月間タクシードライバーの仕事をして役作りをした、といった話もあります。しかし宇宙飛行士や殺人者の役の場合は、経験はできず、想像力を働かせるしかない。これと同じようにクリエイターも、4K、8K、ドローンを使った撮影など「このテクノロジーを使ったらこんな映像が撮れるはず」とイマジネーションを膨らませることが大切だと思っています。事業をつくる人間も同様でしょう。

 僕、よく言うんですよ。「もう、起承転結じゃない」、「奇想天外だ」と。

板東 いい言葉ですね。

別所 想像できる範囲内で優れたものをつくるのでなく、誰も想像しなかったものをつくりたい。そこで私は、世界中のショートフィルムが日本に集まってきて、ネットで手軽に見ることができ、アーカイブされた作品は有料で見られるシステムがあって……という未来を思い描いたんです。実を言うとアメリカには、もう「映像考古学」という学問があるんですよ。

板東 映像考古学!

別所 はい。20世紀以来の110年の間に生まれた映像の意味づけ、いまと何が違うか分析し、アーカイブして残す学問です。私は、日本も早くこれに着手しなければ後れをとってしまうのではないか、と危惧しているんです。ただ、ひょっとしたらこれを担うのは人間でなく、AIなのかもしれませんが(笑)。