OECD(経済協力開発機構)のアンヘル・グリア事務総長は13日午後、都内で「週刊ダイヤモンド」の単独取材に応じた。OECD加盟各国と日本の比較を念頭に置いたインタビューから見えてきたのは、低い生産性や厳しい財政状況、起業姿勢に至るまで、世界トップクラスには程遠い課題の数々だった。(『週刊ダイヤモンド』編集部 竹田幸平)

――日本経済の現状をどのように捉えていますか。

Angel Gurría/1950年、メキシコ生まれ。メキシコ国立自治大学卒業、英国リーズ大学修士課程修了。メキシコの外務大臣や財務大臣を歴任後、2006年から現職。

 まず一人当たりGDP(国内総生産)は過去4年で加速し、改善が進みました。アベノミクスの効果もあって、「ウーマノミクス」と呼ばれる女性の労働参加が進んだことはよいニュースです。一方、世界経済の低迷や保護主義の台頭などは成長の逆風となっています。これら国際的な課題に加え、日本では少子高齢化の進行が「新しくない」問題として、引き続き横たわっています。

 労働市場では幾つかの傾向が浮き彫りとなっています。まず、正規雇用と非正規雇用の二極化です。正規雇用は良好な状況ですが、男女間の賃金格差、雇用機会の格差は生産性の減速をもたらす点で大きな問題です。また巨大な公的債務も引き続き日本の大きな課題です。イノベーション(技術革新)やデジタル化、女性の一段の社会進出や中小企業部門の業績改善なども、日本経済の問題緩和への重要な要素だと思っています。我々はそれらの動向を注視しています。

――日本の労働生産性は、OECD諸国の中でも低い部類にあります。どのように改善していくべきでしょうか。

 生産性が幾つかの要素から成立することは念頭に置いた方がよいでしょう。例えば投資や労働市場の在り方です。もっと柔軟な規制の枠組みが必要とされています。

 さらに言えば、開業率の低さも問題です。起業家は、テクノロジーの変化を映しやすい存在です。新たな技術などを取り入れ、既存の企業より生産性が高い傾向もあります。しかし、日本では起業を大きな挑戦と感じる人が多くなっています。統計的に見ても、日本人は他国と比べて起業に「恐れ」を感じる割合が高い傾向があります。