菅政権はほとんどレイムダック(死に体)化しており、震災復興も進まず、東電福島第一原発事故対応でもモタモタしている。しかし、消費税増税だけが着々と進んでいる。
6月2日の「税と社会保障の一体改革案」で「2015年度までに段階的に消費税を10%まで引き上げる」という方針が明らかになった。
消費税の社会保障目的税化は
理論的に正しいとはいえない
この考え方は財務省がバックにいるので、ポスト菅でも「脱・脱官僚」の民主党では継承されるだろう。しかし、消費税の社会保障目的税化は理論的に正しいとはいえない。1月27日のこのコラム(社会保障を人質に理屈なき消費税増税を狙う 消費税の社会保障目的税化は本当に正しいか)で詳しく書いたが、そのエッセンスは、以下の通りだ。
(1)社会保障で重要なのは再分配機能である。
(2)一方、社会保障では負担と給付の明確化が必要である。
この点から、消費税を社会保障財源とすると、再分配機能がうまく発揮されず、しかも負担と給付の関係が不明確になる。再配分機能と負担と給付の明確化のためには、消費税より社会保障保険料(定額+所得比例)を財源にするほうが優れている。