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IoT最前線
【第1回】 2017年6月7日
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ダイヤモンド・オンライン編集部

「IoT革命」はいま、どんな局面にあるのか? 坂村健・東洋大学情報連携学部長に聞く

クラウドで全てのモノをつなぐと
あらゆることが効率化できる

――IoT社会実現のために坂村教授が唱え、研究している「アグリゲート・コンピューティング」とは、どんな考え方でしょうか。

 平たく言えば、クラウドを仲介して全てのモノを繋ぐということ。これが私の考えるIoTの在り方です。

 昔は通信インフラが十分でなかったため、情報処理はできるだけローカルに行い、機器の連携もローカルに直接繋げるしかなかった。しかし、今や全世界で光ファイバーが張り巡らされ、通信速度は飛躍的に向上しています。そうなると、ローカルな処理はむしろ非効率になります。

 たとえば、ビルに1000個の電球があって、それぞれで高度な処理をするとなると、全体コストはものすごく高くなる。電球1つにスマホ並みのハードウェアを付けるような話になる。消費電力も大変です。それが、1つのクラウドに全ての機器を繋げ、高度な機能はそこで実現し、そこを仲介して他の機器と連携するようにすれば、コストや全体のエネルギー消費を大幅に削減することができます。

 様々な情報をインターネットでやりとりするにはセキュリティが重要になりますが、ローカルな処理で特に問題になるのがそれです。こちらも個別に徹底しようとするとコストがかかる。セキュリティは本来の機能ではないので、「電球のハッキングを気にするくらいなら、ネットになんか繋ぎたくない」となる。それをクラウドで一元的に行なえるようになれば、クラウドですでに確立している様々なセキュリティ技術が使えます。

 一方、アグリゲート・コンピューティングを実現する上での機器側のポイントはOSです。私が研究してきたTRONは、ユビキタス時代の実現を見据えてリアルタイム性を重視したオープンなOS(オペレーティングシステム)であり、現在、携帯電話や情報家電などの組み込みOSとして広く普及しています。非常に動作が軽く、Android OSやiOSを動かすリソースの10分の1程度で動きます。

――IoT社会を実現するための基本理念として、アグリゲート・コンピューティングでは「オープンIoT化」を唱えられています。オープン化はどれくらい重要なのでしょうか。

 たとえば家電製品なら、これまでは同じ会社の製品でないと連携が困難でした。スマホは自社のスマホのアプリでないとコントロールできない、テレビなら自社のリモコンアプリを使わないと高度な操作ができないなど、クローズな環境にありました。これは以前からあった、ネットに個別のモノを繋げるだけの発想です。

 それでは、あらゆるモノをインターネットでつなげようとする本来のIoTの意味がない。そのため、「オープンIoT化」が必要となるのです。オープンIoT化とは、クローズだった機器の持つ色々な機能を制御するためのAPI(アプリケーション同士をつなぐインターフェースのプログラム)をクラウド経由でオープンにする、各機器の本来の機能ではない複雑な処理はクラウド側でやらせる、そうした仕組みが連携して全体に高度な機能をユーザーに提供する、という考え方でモノを再構築することです。

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あらゆるモノがインターネットで繋がるIoT(Internet of Things)。その仕組みを活用できれば、大きなチャンスが生まれるという。多くの企業が期待を寄せ、取り組みを進めるIoTだが、日本におけるIoT化は現在どのような局面にあるのか。チャンスを生かすための課題とは何か。有識者の声や産業界の取組みを紹介しながら、最新トレンドを多角的にリサーチする。

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