おまえのリスクは、オレのリスク

実は、これら3つすべてが、発注者サイドも知っておき、解決に協力すべきリスクです。

「いやいや、技術やメンバーのスキルなんて、ベンダーの責任で解決すべきでしょ!」
「なに言ってんだ! 人事のことなんて、直前まで社外に話せるわけないだろう!」

そう思われる方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、それは、「システム開発は、発注者とベンダーという別の組織が、各々の役割と責任を果たしていけば良い」というセクショナリズム的な考えに基づいているはずです。

エンジニアが「このお客さん、ダメだ」と心の中で思う瞬間とその対策『システムを「外注」するときに読む本』 細川義洋:著
価格(本体):1980円+税 
発行年月:2017年6月 
判型/造本:A5並製、352ページ ISBN:978-4478065792

システム開発プロジェクトは、そこに入ってしまえば、発注者もベンダもない、目的を1つにした「チーム」です。たとえ、各々が独自で解決すべきリスクであったとしても、結局のところ、自分のチームを危険にさらす事柄であることには違いないのです。それを知らないでは済まされないし、発注者側が解決のために必要な協力を惜しむことは、プロジェクトを衰退に向かわせることになります。

とはいえ、言ってみれば、そんな「他社の事情」に対して、どこまで踏み込み、実際にどんなことができると言うのか? と、感じる方も多いようです。

私が申し上げたいのは、全面的にベンダーに「奉仕」せよ、ということではありません。