前篇では、安倍政権下で高橋氏がサポートした国家公務員制度改革のスタートから、それを引き継いだ古賀氏の国家公務員法改正案が、どうして廃案に追い込まれたかまでを語ってもらった。後編では、民主党が政治主導を高らかに掲げて政権交代を実現したにもかかわらず、なぜ公務員制度改革が後退していったのか、霞ヶ関の巻き返しによって「官僚内閣制」が続けば、日本経済にどのような影響が出てくると予想されるかについて語り合う。
(撮影/宇佐見利明)
公務員制度改革は
政治主導を実現するため
司会 話は前後しますが、なぜ古賀さんは自らの地位をかけてまで公務員制度改革に挑んだのですか。
古賀 今の政府の最大の問題点は、「政治主導、政治主導」という割には、そもそも政治家がしっかりしていないことなのですが――いくら政治家がやる気を見せたとしても、なかなか官僚がそちらを向いて仕事をする仕組みになっていないからです。
基本的に役所にいると、大臣とか総理を見るよりも、事務次官を見て役所のために役所の利益を拡大するように働くと、それで昇進するという仕組みになっている。だからそこの仕組みを変えないといけない。
例えば小泉改革で、郵政民営化や道路公団の民営化、あるいは政策金融機関の統合をやって、「ああ大きく動いたな」と思っても、小泉さんがいなくなった途端にダーと後退してしまうというようなことが起きる。
だから、たまたま強い人がいたから総理の考える方に動いたということではなくて、どうやって(官僚が)制度的に総理や大臣の方を見ないといけない仕組みをつくるか、それが公務員制度改革の本筋だと思うのです。