墜落事故後は遺族宅を自ら訪問
共感的リーダーシップの重要さ

 14年にはインドネシア線で航空機事故が起きて、162人の乗客と乗務員が死亡した。彼が最もつらかったのはその時だったという。

 彼は、その事故の後、何をすべきか相当迷ったという。弁護士や多くの人々と相談して彼がとったのは、「亡くなられたすべての方々の家族を訪問し、謝罪すること」だったという。

 それは大変なことだった。許してくれるはずもない、罵倒され、殴られることもあったという。だが、それができうる最良の選択であったと彼は今でも信じている。

 こうして見ると、彼のリーダーシップスタイルは「共感、信頼、誠実」だ。常に他者の目線に立ち、共感性をもって対峙する。一方で、CEOとしての決断とリスク判断は、冷静に行う。この2つを両立させている。

 だが、本人が「共感しよう」と思っても、周りがそれをさせてくれなかったり、本音を話してくれなければ、そのリーダーシップスタイルは機能しない。

「従業員やお客さんとの間、そして皆さんとの間に壁を作らないようにしてるんだ」

 常に、ポロシャツにチノパン、赤いエアアジアのキャップというカジュアルないで立ちである理由を、彼はそう述べた。

「この恰好で空港にいると、誰も僕がCEOだなんて気づかないんだよ。先日なんか、ウチの従業員にバングラデシュからの乗客と間違われちゃったよ」と話して会場を沸かせた後、「でも、この恰好だから、現場の従業員やお客さんが、何を見てどう感じてるかわかるし、皆教えてくれる。これが僕のやり方なんだ」と述べていた。いで立ちもビジネス戦略のうちなのだ。

 今月に入ってからダイヤモンド・オンラインでは、みずほフィナンシャルグループの佐藤康博社長の記事を載せている。7月18日の記事『みずほ34歳支店長が象徴する銀行らしからぬリーダー育成術』のなかで、佐藤氏もまた、共感的リーダーシップの重要性を説いている。

 そのためには、「相手が本音を話してくれ、相手の立場を共有でき、共感できる環境」が必要だ。フェルナンデス氏は、自らのアイデアでそれを作りだしている。

 日本人ビジネスパーソンも学ぶべきところは多いと考える。