いずれにしても、高卒に対する求人が減っていくなかで、専門職大学の道も設けたうえで、高等教育修了者の比率を向上させて、実務能力をつけて、専門職として世に送り出しましょうということです。こうした専門職大学であれば、実業界の側もより支援がしやすく、実業界と大学界が協働した人材育成がさらに一段進展できる可能性が広がると思われます。

 これによって、世間から厳しい批判にさらされている一部文系大学の再編の一つの方向性になりうると思われますし、文系の教員も、こうした形になれば、むしろ、やる気ある学生たちにその知を教授することができるようになります。

 現状の高卒者の進路は、5割が大学、2割が専門学校、2割が就職、1割が無業者という割合ですが、高卒の求人が減るなか、我々のイメージでは、専門職大学や高等専門学校を含む大学進学者比率を6割にして(少子化で全体数が減っているので数は現状維持)、3割が専門学校(これも現状維持)、5%くらいを高卒就職者にするというくらいになると、産業構造の変化に対応していけるのではないかと考えています。

 一方、指定国立大学法人制度とは、今後、世界と伍していける日本の大学のいくつかを指定国立大学に指定し、指定を受けた国立大学は国からの資金に頼るのではなく(全収入の半分以下)、財政的にも経営的にも自由度を増やし、戦略的なガバナンスを自律して行えるようにしていこうというものです。

 経済界との協力が一段進化しつつある動きは前回触れましたが、こうした動きを本格化させていくとともに、トップ国立大学についても私費負担を増やすためには、すでに述べた国内企業からの投資に加えて、国内学生からの授業料、留学生からの授業料、海外企業からの資金提供、海外ビリオネアからの寄付などの可能性があります。残念ながら、日本にはそもそもビリオネアが極めて少ないので、慶應のような一部大学を除き、日本人ビリオネアからの寄付は望めません。

大学の授業料は値上げすべきか?
ビリオネアからの資金獲得の発想も

 しかし、国内学生からの授業料値上げについては大いに議論すべきです。大学のトップは世論の反発を恐れて議論をしようとしませんが、私個人的には、指定国立大学に絞れば、低所得者への授業料免除を大幅拡充することを前提に、トップ大学にも富裕層の子女は多いので、一部富裕層世帯からの授業料引き上げについては議論すべきだと思います。今、アドバイスをしてくださっている米国の名門大学の元総長たちからの共通の指摘でもあります。