その点、自動車などの高度組立産業は「モノつくり」という文化を最終製品に込めて成功したとも言えなくもないですが、今後は「MUJI」やユニクロのように、違う形で日本の文化をポータブルな商品化したものがもっと世界市場に出ていくことを期待します。そうでないと、少なくとも消費財やサービス業において世界企業は日本からは生まれないから。

伊賀 自動車産業などごく一部を除き、そもそも世界でトップをとろうとまじめに目指している企業の数自体も、日本の経済規模を考えれば少ないですよね。日本企業がアジア諸国を製造拠点ではなく消費地として真剣に考え始めたのは、日本の市場が本格的な縮小傾向に入ったここ10年弱のことではないでしょうか。

 米国や中国だって国内市場は日本以上に大きい。それでも経営者の志は非常に高く、最初から世界を目指す企業が多いけど、日本の場合、国内市場がいよいよダメになり、お尻に火が付いたから国外に出ますといった趣です。

 平野さんの本にもあるように、日本企業は「大成功するより潰れないことが大事」で、「企業存続」が経営の目的にさえなってしまっています。事業の取捨選択や業界再編が進まないのもそこに理由があるし、上場を維持するため、もっとも有望な事業を売り払おうという判断もその類型にあるものと思えます。

今後成功する日本企業の
4つのパターン

平野 とはいえ、日本の優良企業の財務体質はそれなりに強いので、東芝のように買収で失敗したり、シャープのように設備投資に失敗したりして尋常でない巨額の資本を毀損しないかぎり、多くはこのまま終身雇用を守ったまま均衡縮小していくのでしょう。もちろん先程言ったように、ユニクロや無印良品、ソフトバンク、あるいは若い世代ではZOZOTOWNやメルカリなど新しいビジネスモデルを作っている企業もありますが……。

伊賀 私、これから日本で成長していく企業のタイプは次の4つだと思ってるんです。

(1)もっとも元気がいいのは創業者が率いている企業。ソフトバンクや日本電産、ファーストリテイリングの他、ZOZOTOWNのスタートトゥデイやメルカリなど。イノベーティブで野心的な創業者が高い目標を掲げ、長期にわたって強いリーダーシップを発揮していく企業が本当に元気だと感じます。

(2)ふたつめは日本の伝統的な企業に外国人経営者が就くというパターン。カルロス・ゴーン氏のリーダーシップで再生した日産自動車や、鴻海グループに買収されて立ち直りつつあるシャープ、あと、NECのパソコン部門もレノボに買収されてから値引き販売されない競争力のある商品を開発するようになりました。