企業コミュニティ作りに「トレンド」や「パターン」は通用しない

 すべての企業のすべての課題を同じように解決するソーシャルメディア施策は存在しません。よほど予算の余裕がない場合を除いて、コミュニティの開設前には必ずアセスメント調査というものを行うようになりました。参加者が快適に楽しめるコミュニティ設計をするために、コミュニティの利用者となる顧客のうち数名を選び、事前調査のヒアリングをするのです。

 ブランドへの愛情や希望や悩み、また、ソーシャルメディアで投稿する筆力などを調べます。どのような話題を語ってもらえば盛り上がるか、どのようなキャンペーンが求められているか、テーマは商品にするのがよいか、それ以外がよいかなど、細かく設定していきます。

 企業コミュニティは、企業の持つ唯一の物語、また顧客の持つこれもまた唯一の物語がからみ合うロマンチックな舞台です。トレンドを追いかけたり、パターンを踏襲したりしてもうまくはいきません。ましてや海外事例は無意味とまではいわないにしても、自社の企画に適応させるのは難しい。

 企業と消費者の関係構築の最初の一歩は、顧客に向けたヒアリングからスタートします。喧嘩をした2人が仲直りするときと同じで、コミュニケーションはいつも、相手のいっていることに耳を傾けることから始まります。

 次回は、企業コミュニティが活性した際につきまとう不安、誹謗中傷に対する処方箋についてお話ししようと思います。


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定価:1,890円(税込) 四六判・並製・336頁ISBN:978-4-478-01631-2

◆内容紹介
当コラムの筆者、武田隆氏(エイベック研究所 代表取締役)の新刊『ソーシャルメディア進化論』は発売以来ご高評をいただいております。
本書は、花王、ベネッセ、カゴメ、レナウン、ユーキャンはじめ約300社の支援実績を誇るソーシャルメディア・マーケティングの第一人者である武田隆氏が、12年の歳月をかけて確立させた日本発・世界初のマーケティング手法を初公開した話題作です。

「ソーシャルメディア」とは何なのか?」
「ソーシャルメディアで本当に消費者との関係は築けるのか?」
「その関係を収益化することはできるのか?」

――これらの疑問を解決し、ソーシャルメディアの現在と未来の姿を描き出した本書に、ぜひご注目ください。

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内容目次
序 章 冒険に旅立つ前に
第1章 見える人と見えない人
第2章 インターネット・クラシックへの旅
第3章 ソーシャルメディアの地図
第4章 企業コミュニティへの招待
第5章 つながることが価値になる・前編
第6章 つながることが価値になる・後編
終 章 希望ある世界