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ソーシャルメディア進化論

【第8回】
ソーシャルメディアはブランドの本質の映し鏡

迷走する企業を救う唯一の手がかりとは

武田 隆 [クオン株式会社 代表取締役 兼 最高経営責任者]
【第8回】 2011年9月13日
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茶道のもてなしに学ぶ
活性する企業コミュニティの秘訣

 企業コミュニティを活性させるためには、企業が運営する「公式」の場と、利用者自身が運営する「非公式」の場の配置をバランスさせることも大切になってきます。

 カゴメ株式会社の企業コミュニティは、参加者どうしが自由に交流しながら凛々子の苗を育てていく場ですが、それらの非公式の場を束ねるように公式の場が存在し、そこでは、害虫対策や苗がかかる病気の対処法などの情報交換が行われています。

 また、収穫から次の苗を育てるまでの冬の期間は、公式の場で川柳大会などが開かれ、参加者の注目を集め、関心を維持する役割を担っています。

 茶道のもてなしの心得に「相客吟味」という言葉があります。茶の湯の一席がどのような空気になるかは、そこに居合わせている客どうしの相性によるところが大きい。「どのような客を招待するかで、その茶会の良し悪しが決まるのだから、十分に気を配らないといけない」という意味だそうです。

 企業コミュニティも同じで、どのような参加者を招き入れるかというのは重要なポイントとなります。

 状況に応じてケースバイケースで対応することがほとんどですが、基本的にはファンから集めるのが最もつくりやすいです。企業コミュニティが価値観と価値観の共鳴の場であることを考えれば、それも当然といえるかもしれません。

企業コミュニティの設計はスーツの仕立てに似ている

 私は各社のファンと接触の機会を持つなかで、つくづく会社というのは個性的であるということを感じるようになりました。一時期、全社共通のガイドラインの策定をめざしたこともありましたが、導入企業が100社を超えたあたりで、どの会社にも有効なしくみやガイドラインなど存在しないと痛感しました。

 たとえば、当社は10社近くの化粧品メーカーのコミュニティをお手伝いしていますが、1社として同じ設計はありません。

 伝統的なブランドで電話による接客を得意とする企業の顧客は、年配で受け身の方が多く、新進のベンチャー企業の顧客は、若く声高で自己主張が強い方が多い。むしろ同業界ほど、その個性の違いが強く現れるのではないかと思わされるほどです。

 それらの違いによって、企業コミュニティの設計もそれぞれまったく異なったものになります。企業と顧客の関係はオリジナルなものであるから、コミュニティの設計もオリジナルなものになる。それはその人の骨格や雰囲気に合わせて仕立てるスーツのようなものです。

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武田 隆
[クオン株式会社 代表取締役 兼 最高経営責任者]

日本大学芸術学部在学中の1996年、前身となるエイベック研究所を創業。クライアント企業各社との数年に及ぶ共同実験を経て、ソーシャルメディアをマーケティングに活用する「消費者コミュニティ」の理論と手法を開発し、複数の特許を取得。その理論の中核には「心あたたまる関係と経済効果の融合」がある。システムの完成に合わせ、2000年同研究所を株式会社化。その後、自らの足で2000社の企業を回る。これまでに森永乳業、ライオン、資生堂ジャパンをはじめ、300社超のマーケティングを支援。ソーシャルメディア構築市場トップシェア(矢野経済研究所調べ)。2015年、ベルリンと大阪に支局を開設。著書『ソーシャルメディア進化論』は松岡正剛の日本最大級の書評サイト「千夜千冊」にも取り上げられ、ロングセラーに。また、CSR活動の一環としてJFN(FM)系列ラジオ番組「企業の遺伝子」のパーソナリティも務める。1974年生まれ。海浜幕張出身。


ソーシャルメディア進化論

花王、ベネッセ、カゴメ、レナウン、ユーキャンはじめ約300社の支援実績を誇るソーシャルメディア・マーケティングの第一人者、エイベック研究所の代表取締役 武田隆氏が、ダイナミックに進化し続けるソーシャルメディアの現在と未来に独自の視点から迫る!

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