トマトの苗でつながるコミュニティ
「カゴメわくわくネットワーク」

 物語は参加者の我が事化(レリバンシー)を向上させます。これが帰属意識につながっていきます。主体的に参加すると、そこが自分にとってただならぬ場所になってきます。

 ここで、カゴメ株式会社が運営する企業コミュニティ、「カゴメわくわくネットワーク」をご紹介しましょう。

 このコミュニティは当初、「凛々子わくわくネットワーク」という名称でした。「凛々子」とは、同社が開発したトマトジュース用のトマトのこと。カゴメのコミュニティの参加者にはこの凛々子の苗が配られます。参加者はそれぞれのユーザーサークルに苗の育成記録を投稿し、お互いに参照し合い、励まし合いながら、途中であきらめてしまいがちなトマトの収穫までの長い道のりをたどります。

参加者が大切に育てた凛々子。
(カゴメ株式会社「カゴメわくわくネットワーク」より投稿者の許可を得て掲載)

「凛々子の苗からトマトを収穫する」という共通の目標を持った参加者たちは、お互いの結束を強めるだけでなく、このようなすばらしい場を提供してくれたカゴメという会社に対しても感謝の気持ちを持つようになります。

 カゴメが企業コミュニティの参加者に向けて実施したアンケートで、「カゴメという企業が身近になった」「カゴメの企業活動に関心が高まった」と答えた参加者は、80%を超えます。

 企業はそれ自体、ネットワークのハブであるといえます。社是や商品のコンセプトという形で自らの価値観を発信し、顧客、従業員、取引先、株主といった関係者とつながっている。企業は社会とつながっています。企業コミュニティに関係者が集まり、対話を重ねることで、お互いの関係はより直接的で創造的なものになります。