さて、富士通の携帯電話事業は現在、年間1500億円超の売上高がある。記事によれば富士通幹部は、「台数はもう伸びないが、腐っても鯛」と語っているそうだ。日本の携帯メーカーは、冒頭でも紹介したように、ある特定のユーザーから高い支持を受けるニッチ市場に特化する戦略で生き残ってきた。

 一方で世界の携帯市場は、アップル、サムスン、中国の華為技術(ファーウェイ)らに寡占されていて、各社とも年間1億台から3億台の需要を賄っている。その絶対的な規模の大きさで、部品の調達・生産コストを下げ、大きな利益を上げている。携帯電話ビジネスの王道は「規模ビジネス」なのだ。

 かたや、日本メーカー各社の規模は年間1000万台前後。4社合わせても世界シェアの3%を占めるに過ぎない。調達や生産の規模ではまったくかなわないので、特化した市場を狙うことになる。京セラが病院に強い、ソニーならハイセンスなデザインにこだわる層に強い、といった話だ。富士通もこうした戦略的判断から、高機能を必要とするユーザーをターゲットに、スマホ開発を続けてきたのである。

携帯市場でハイエンド戦略が
成立しない構造的な原因

 ただ、この戦略には構造的な問題点がある。日本の携帯市場特有のトレンドとして、どうしてもガラパゴスになってしまうのだ。

 日本を除くほとんどの国では、高所得層がアップル、中低所得層がアンドロイドを使うという棲み分けになっている(例外的に中国は違うが、それは別の話であり、日本企業が簡単に市場を狙えるわけではない)。いくら富士通やソニーがハイエンドの携帯市場に特化しようとしても、グローバル市場にはハイエンドのアンドロイドという選択肢はない。

 自動車やファッションアイテムと違って、これが携帯市場でハイエンド戦略が成立しない構造的な原因となっている。高級なアンドロイド携帯というのは、ガラパゴスな商品なのだ。