このことが新聞記事になり、それを読んださいたま市の市立慈恩寺小学校が廊下や階段の衝突防止のためにコミーに協力を求めた。同校では安全な教育環境づくりを進める国際的な認証「インターナショナル・セーフ・スクール(ISS)」の取得を目指しており、衝突防止のために市販品のミラーを設置していたが効果が少なかった。

 コミーでは凸面鏡など20点を無償提供し、設置後3ヵ月間で衝突事故の件数は前年同時期より3割以上減少したという。こうして、2017年1月に無事、ISSも取得できた。

「学校や駅など公共施設でコミーのミラーが役に立つのは喜びです。実績をつくっていけば、使い方も明確になり、今後、公共スペースへの拡大の余地があるでしょう」と小宮山は、利を焦らず、じっくりと構えている。

きっかけは知り合いの一言
スーパーから引き合いがきた理由

世界の航空機がこぞって導入する日本製「気くばりミラー」とは?スーパーから意外な引き合いがあったことで、「気くばりミラー」の秘めたポテンシャルが判明した

 小宮山が紆余曲折を経て、たった1人で会社を創業したのは1967年のこと。27歳だった。もともとは看板業を営んでいたが、そのうち、電動で回転する看板やディスプレイをつくるようになった。

 あるとき、知り合いが凸面鏡を持って来て、「回転看板につけてみたらどうだ」と言われ、天井から吊り下げて回転させるディスプレイ用の鏡をつくった。1977年、展示会にこれを出すと、あるスーパーが30個も注文したので、不思議に思って小宮山が店を見に行くと、なんと万引き防止用に使っていた。

 これが現在のコミーの始まりだ。顧客が小宮山に商品の使い方を教えてくれたのだ。以来、納品後に顧客の現場を見て、話を聞くようになった。

 万引き防止用ミラーをつくるうちに、凸面ではなくフラットで視野の広いミラーができないものかと研究開発を続けるなかから、1987年にFFミラーが生まれ、気配りミラーのコミーとして成長が始まった。

 1995年、幹部社員が札幌に出張に行き、その帰りの飛行機の中で、手荷物入れに平面鏡が取り付けられているのを見た。表面は傷だらけで、奥までよく見えない。FFミラーの方が役に立つのではないかと考え、小宮山に相談した。

 小宮山は早速、友人の伝を頼って国内エアライン会社を訪ね、羽田整備工場で機内を見せてもらった。FFミラーを持ち込んで試してみると、客室乗務員には大好評で「ビン(手荷物入れ)の確認作業を確実に、そして楽にこなすことは10年来の願いでした」とまで言ってくれた。