投資のプロ4人が語る、簡単で有効な投資法とは？

今は、市場のグローバル化で
分散が効かないのでは？

朝倉　これだけグローバル化が進むと、分散投資する意味がないのではないかという意見もありますが、それについてどう考えますか？

中野　グローバリゼーションのなかで市場が同じ動きをするのは、ある程度、仕方がないことです。これは受け入れる。では、何のための分散ですか？というと、グローバリゼーションの構造に合わせて分散しましょうということです。
   たとえば中国経済がここまで大きくなると、中国経済を無視するわけにはいきません。地球経済全体の大河に資金を乗せていくためには、国際分散投資によって、欧米先進国や日本だけでなく、中国にも資金を分散させていく必要があります。言い方を変えると、地球経済を丸ごと買って、その成長に資金を委ねるということです。

バンガード・インベストメンツ・ジャパン　加藤隆氏

加藤　グローバル化だから分散しなくても良いというのは、飛躍した考え方です。相関係数が近くなっているのは事実ですが、たとえば日本株と米国株に10年間投資した場合、両者の値動きは全く異なっています。中国やギリシャの場合もそうです。だから分散投資の効果は必ずあります。
   世界同時株安の時には、同じ動きになってしまいますが、その局面だけを見て分散投資は必要ないというのは、かなり幼稚な議論だと思います。

REITやコモディティにも
分散投資すべき？

朝倉　分散させるうえで、REITやコモディティは有効でしょうか。

竹川　個人的には株と債券を持っていれば、分散は効くと考えています。海外REITについては、まだ米国と豪州がマーケットの中心なので、ポートフォリオに加えるのはまだ先でも良いかと…。コモディティについては、金が中心になると思いますが、基本的に金は利息を生みだしませんし、金そのものの価値が成長するわけではなく、多分に受給バランスによって、価格形成が左右されますから、ポートフォリオ全体からみれば、せいぜい10％程度の組み入れで十分だと思います。

朝倉　最後にメッセージを。

加藤　市場は悪い材料も含めて、それを見越してプライスが形成されています。それを是非、理解して下さい。

中野　なぜ株式投資があるかということを考えて下さい。経済成長を支えるのが株式投資なのです。ですから、その株式市場に優良な個人の資金を入れることができれば、日本の株式市場はこれから、非常に良いマーケットに変わっていける可能性があります。

竹川　自分のお金の行き先を意識することが大事だと思います。インデックス運用は無機質なイメージがありますが、投資したお金がどんな国、企業に投資されているのかを意識してみるだけでも、興味が向くと思います。

朝倉　ありがとうございました。

※この記事は、2011年10月9日、朝日ホールで行なわれた「正しい投資の始め方～『敗者のゲーム』チャールズ・エリス氏を迎えて～」（バンガード・インベストメンツ・ジャパン　主催、クレディセゾン、セゾン投信協賛）の第二部『簡単で有効な投資法とは』のパネルディスカッションを取材し、再構成したものです。