デキる人の「毎朝」の行動パターン

[理想的な例]
 午前中、スケジュールがぎっしり詰まっていることを、デイヴはよく自覚している。そこでいつもより20分早く出社し、まだひとけのない給湯室でコーヒーをカップにそそぎ、オフィスに入る。そして、午前中に片づけるべき仕事のリストに5分間目を通し、不要と思われる項目を消去し、重要と思われる項目に二重線を引く。

 次に、重要な仕事にあてる時間を捻出する方法を思案する。そして上司のグレースに「重要な仕事を正午までに仕上げなければならないため、定例のスタッフミーティングには前半だけの出席とさせていただけないでしょうか」とメッセージを送る。ただしそのあいだはミーティングにしっかりと集中するということも説明する。それから転職希望者への推薦状をすばやく作成し、メールで送信する。

 そのあとの30分は、クライアントへの提案書の見なおしにあてる。パソコンとスマホのアラート機能をオフにし、静かな環境で、注意深く提案書を読み直し、間違いがあれば訂正する。そして自信をもってクライアントに提案書を送信する。

 デイヴは、これほどスケジュールが過密になる前から、直属の部下カリッサと勤務評定をする予定をいれていた。カリッサがやってくると、デイヴはカリッサに時間が15分しかないことを説明するが、そのあいだはきみに完全に集中するからと言い添える。と同時に、そのあいだはぜったいに邪魔が入らないことを保証する。

 ところが突然、ネルソンがハリケーンのような勢いで近づいてきた。そしてマーケティングチームの無能ぶりについて、大声で怒りをぶちまけはじめた。デイヴはネルソンの話をさえぎり、「いまミーティングの最中だから遠慮してくれ」と伝える。そして親しみをこめた、だが断固とした口調で、話があるのならアポをとるよう伝える。そしてすぐにカリッサの勤務評定に戻る。

 デイヴは社内のスタッフミーティングに前半だけ出席したあと、メールを整理する。必要なメールには返信し、不要なものは削除する作業に15分を費やす。そして依頼があった仕事をいくつか部下にまかせ、その内容をチーム全体にメールで知らせる。一度に集中してメールを整理すれば、信じられないほど大量のメールを受信箱から消去できることを実感する。

 電話会議まであと数分あるので、CIOのアシスタントに電話をかけ、週の後半にCIOと会うアポをとれないか尋ねる。だが「いますぐは対応できない」との返事だったので、CIOのスケジュールが空いている時間をのちほどメールで知らせてくれるよう言質をとる。

 電話会議が始まる。本音をいえば電話会議はあまり好きではないが、会議中は積極的に発言することを心がけている。電話会議の最中に、こっそりメールやメッセージのやりとりをしたいという誘惑に駆られることもある。だが本気で電話会議に参加していなければ、それは相手に伝わるものだし、それでは職業人の倫理に反すると、デイヴは考えている。

 そして電話会議の話題が、自分には貢献できない分野に移ったところで退席する。オフィスをでると、妻と約束したランチの時刻までまだ余裕があったので、途中で花束を買い求めた。