今年で創業100周年を迎える森永乳業。「シールド乳酸菌」などが好調な一方、森永製菓との統合話は“破談”になった。宮原道夫社長に課題と展望を聞いた。
──素材として外販を行っている「シールド乳酸菌」が好調です。
ヨーグルトなど乳酸菌関連のヒット商品が各社から出て、乳酸菌自体が身近なものになりました。
シールド乳酸菌は、死菌体で、食品の風味も壊しにくいので、さまざまなものに加えやすく、使いやすいのが特徴。だから、BtoBの事業として、今や150社以上の企業がお使いです。
さまざまな素材を持っていたけれど、チャンネル(販路)を広げられていなかった。それで2015年、脱脂粉乳などの業務用食品を扱う部署と、サプリメントなどに使う菌体を営業する部署を一つにしました。それぞれの持っている商品をお互いのチャンネルに乗せようと。その狙いが、うまく出てきたのかなと思います。
──健康領域は競争が激しい。機能の訴求の仕方にも厳しい目があります。
食品は薬ではないですから、マーケティングが難しいのは確かです。ただ、お客さまが商品を選ぶ基準は、最終的には自分の体感だと思うんですよ。
だから、今あるエビデンスの精度を高めること、そのデータをお客さまに理解してもらうことが、差別化のポイントでしょう。