絵画落札額とサッカー移籍金の不思議な関係、背景に金融政策オークションにおいて、合計4.5億ドル(約507億円)で落札された、ダ・ビンチの作品 Photo:Eduardo Munoz Alvarez/gettyimages

 巨匠レオナルド・ダ・ビンチの幻の絵画とされていた「サルバトール・ムンディ(救世主)」が、11月15日に米ニューヨークで行われた競売大手クリスティーズのオークションにおいて、4億ドルで落札された。

 競売会社への手数料5030万ドルを加えれば、計4.5億ドル(約507億円)になる。過去最高額だ。この絵は2013年にロシアの富豪が1.3億ドルで購入したものなので、わずか4年で3倍以上に高騰したことになる。

 今回の落札者の名は明かされていない。米CNBCは数人の画商の話として、米国にダ・ビンチの作品は1点しかなかったため、米国人だろうとの見方を紹介している。一方、中国や中東のコレクターだとの観測も報じられている。

 この絵に限らず、今秋にニューヨークで開催された美術品の競売は全般的に活況だった。11月3週目の競売「戦後・現代芸術作品」の落札額は競売大手3社の合計で6.3億ドル(手数料を除く)。今年5月の記録には届かなかったが、昨年11月より10.4%も多い。平均落札額は430万ドルで、前年より9.6%高くなっている(英調査会社アートタクティック)。

 今年、米連邦準備制度理事会(FRB)は短期金利を1%台に引き上げ、10月からバランスシートの縮小に着手した。欧州中央銀行(ECB)は量的金融緩和策(QE)の減額を10月に決定した。だが、中長期金利は米欧共にまだまだ低い水準にある。それ故、世界の投資資金は美術品などさまざまな市場に流れ込んでいる。