「収益力が低い」で悩み続ける経営者に足りないものとは写真はイメージです

「働きがい」が高まると社員はどう変わるか

 前回は「お客さまが喜ぶ小さな行動」を徹底させた経営者が、社員の働きがいを高め、離職率をゼロにし、高収益体質の会社を作り上げたという話をしました。

 具体的には月初に「お客さまが喜ぶ小さな行動の目標」について、役員以外の全社員に目標シートを書いてもらい、月末に採点して、次の月の目標を立てることを繰り返したのですが、導入当初は一部の社員が抵抗勢力となって反発し、退職した人も出てしまいました。

小宮一慶
小宮コンサルタンツ代表

 人員に余裕のない中小企業にとっては痛手ですが、そこは経営者が覚悟を持って乗り越えなければならず、そこを乗り越えると、社内は変わってきます。

 前回の連載では工具を持ち帰って夜に手入れをしたり、社用車をピカピカに磨いて次の仕事に備えるという社員の話を紹介しましたが、それ以外にもこの会社には感動のエピソードがたくさんあります。

 その会社では、お客さまからの修理やトラブル解消依頼は、社内に残っている女性が電話を受けて、外を回っている工務担当者に連絡します。それが当たり前のやりかただったのですが、「お客さまが喜ぶ小さな行動」を実践しているうちに、ある女性社員が気づきました。「電話を受けた私がその場でお客さまのお困りごとを解決できないか」と。