では、なぜ今まで無料だったのだろうか。恐らく銀行側が、イメージや評判を気にしていたのだろう。「あの銀行はガメツイ。両替の手数料を請求された」などと言いふらされてしまっては、イメージが悪化してしまう。そんなリスクを考えれば、両替のコストくらいに目くじらをたてるべきではないというわけだ。「銀行は社会の公器だから世の中の役に立つのは当然」という発想も、少しはあったかもしれない。

 では、大手行が両替手数料を有料にしたとして、地方銀行など他行は追随するだろうか。もし無料を貫けば、従来は大手行で両替をしていた人(銀行にとっては客でさえもない迷惑な来店者)たちが、押し寄せてしまう可能性もある。それは避けたいだろうし、たとえ有料にしたところで、「大手行も取っているのだから、仕方ないね」と、さしたる批判は受けないだろうから、おのずと有料化を選ぶと思われる。

 こうした流れによって、「サービスは無料だ」という認識に少しでも変化が起きることを期待したい。

預金口座維持にもコスト
通帳1冊当たり年間200円の印紙税

 とはいえ、じつは預金口座を持っている顧客の中にも、銀行にとってみればそんなにありがたくない顧客もいる。そもそも今はマイナス金利なので、預金してくれていてもたいしてありがたくはない。

 確かに、「将来、金融緩和が終了して市場金利が高くなった場合に備えて、預金客は手放したくない。だから、預金客の両替手数料は無料にする」という考え方もある。

 しかし、銀行にとって預金口座を維持管理する費用は、一般の人が考えているより高い。コンピューターシステムの費用や通帳印刷費用などもかかるが、何より「発行済み預金通帳の冊数を数えて、1冊当たり200円の印紙税を毎年納税する」必要があるからだ。